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「本気の基本」を読んで・・・、②

2014/06/26 2:59 閲覧数(1676)
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私の目に留まった事柄をいくつか書きました。最後に、反面教師とう表現は正しくないかもしれませんが、ある意味、天才たるが所以ということで選んだのが以下です。

この章は「自分を持つこと」と題されています。そしてパーツ交換を人事異動に置き換えて語っているのですが、ちょっと引用しましょう。
「・・・・上司が代わったら、急に大事な仕事を任されなくなったとか、そういう話題を知り合いからたまに耳にします。でも、自分はちょっと違うなと思います。自分自身に本当の力が備わっていたら、どんな人間が上司に付こうと、どんな部下を付けられたとしても、周りの人間や環境に関係なく、自分の力は発揮できるはずです・・・・」

要するに部品やバイクの仕様が変更になったとしても、その人自体に整備の実力があれば問題はないはず、という意味でしょう。

そして、人から学ぶことは大切だと語り、こう続きます。
「・・・でもね、ここで勘違いをしてはいけない。頭を働かせずに、できる人間の全てをぱくってしまうやり方は、自分自身の成長を止めてしまう。周りをびっくりさせるような奇抜なことをやれと言っているわけではない。異端になれと言っているわけでもない。そっくりそのまま、ひとまねをしてはいけない。人のまねを続ける癖がついてしまうと、人間の限界点はどんどん低く下がってしまうと思う」

後半部分の王者の考え方は全く正しく、私たちのような凡人の日常生活でも大いに参考になると思います。しかし前半部分のパーツ交換を人事異動に置き換えるくだりはちょっと無理がありますね。

皆さんもご承知だとは思いますが、実社会の組織では能力や人間性などが必ずしも正当に評価されないことがあります。その人間に実力があったとしても、人間関係や環境、そして組織の論理で弾き出されてしまうのも決して珍しくはない。

人間は部品ではないという表現は人権の観点からの言葉ですが、やはり整備と人事異動を比較するのは違和感があります。

けれど誤解しないでくださいね。決して王者を批判しているわけではありません。むしろこれすらも独特な着想をするので感心しているぐらいです。

広い意味で言えばオート界も一つの組織と言えなくもありません。しかし実社会の組織とは大きく懸け離れていることはいうまでもないことです。20歳からオートレーサーを続けている王者が実社会の組織を知らなくて当然だし、否むしろ知る必要などないと思います。なぜなら、そういう俗世間での事柄は天才には無用なものですから。



「天才」と何度も書いてきましたが、こう称されるのを王者本人は嫌うでしょう。才能だけというイメージを持たれかねないからです。でも「天才とは99%の努力と1%の閃きである」という表現を皆さんも知っているでしょう。本書を読むと、まさしくこの言葉が当てはまると思います。

王者のことを考えると、私はある人は思い出します。それは、元日本代表のサッカー選手・中田英寿氏です。引退してだいぶ経ちますが、王者と彼が私にはダブルのです。考え方が似ているとか、発言が似ているとかではありません。それは中田英寿氏のある記事を読んだからですが、それにはこう書かれていました。(要約ですが)。

中田には2つの風景が見えている。目の前で繰り広げられているプレーと、競技場全体を俯瞰で見ている風景が。だから中田には他の選手にはわからないスペースが見え、だからこそキラーパスが出せるのだと・・・。

中田英寿氏については色々評価があるのは承知していますが、ここはサッカーについて書く場ではないので省略します。

「俯瞰で見る・・・」
これはオートレーサーにも共通していることです。優れたレーサーほど危険察知能力が高いと言われます。目の前に映る光景とレースの全体像が脳裏に浮かび、それ故に事故を回避できるだけでなく、前の車を抜くことができるのだと。

この能力こそが、「1%の閃き」に該当するのではないでしょうか。



締めくくりとして、これからの王者に望むことを書きます。私のような人間では僭越ですが、それには目をつぶってください(笑)

まずSG最年長優勝の記録を塗り替えてほしい。故・島田信広選手の49歳が今の記録です。王者は現在43歳。まだまだ引退をしてもらっては困りますが、ただ本書に書かれてある、思い描いた通りに1着が取れなくなったら引退するかもしれませんが。他にも塗り替えできそうな記録があるので、ぜひ挑戦してもらいたいと願っています。

次は、もし実現したらきっと素適なことになるだろうと思いますが、あくまでも私の願望です。

例えば・・・、1勝したらその賞金の一部を積立てて、恵まれない人々や震災で被害を被った人たちのために使う。

例えば・・・、自らの年間優勝回数の目標を定めて、それを達成したら前記した人々をオートレースに招待する(特に子供たちが理想、将来のレーサーやファン開拓のために)。特に東北地方の子供たちにオートレースを見せたいですね。王者には申し訳ないけど費用は全額彼の負担で・・・。



私の提案の理由は以下の通りです。

本書の中で王者は、トップの座に居続けることの苦しみや、オートレーサーとしてのモチベーションの維持に悩んでいることを素直に語っています。その姿に私は彼の人間性を感じると同時に、余計なお節介と知りつつも、何かアドバイスをしたくなりました。

もう十分あなたは、オート界のため・家族のため・自分のために走ってきた。ならば、今までオートレーサーとして誰もしてこなかったこと、社会のため・他者のためにレースを走る、というモチベーションや動機の持ち方があっても良いのではないか。

オートレーサーがそこまでする必要があるのか、とか、一種の売名行為だろうと非難する人がいるかもしれません。けれども、ある程度の地位を得たアスリートが社会貢献するのは、宗教的な要素もありますが欧米などではごく自然なことです。もし王者がそのような観点でオートレースに向き合ったら、きっとそれは素晴らしいことになるでしょう。

誰に頼まれるのではなく、世の中に少しでも役に立つために自らの意志でレースを走る。そんな王者をぜひ観てみたい。そういう王者なら1人のファンとして応援し続けたい。けれども私の願いが叶ったとしたら、王者は今以上に大変な生活を強いられるでしょうね。しかし申し訳ないと思いつつも、彼ならきっとやり遂げると思うのです。

私は、オートレースを知らない人々に王者の存在を広く知ってもらうことを願っています。そうすればオートレースの社会的認知だけでなく、広い世界と王者との繫がりができて、高橋貢というオートレーサーはさらに進化すると考えています。

皆さんはどう思われますか?



ここ数か月の王者は決して調子が良いとは言えません。滑る走路にかなり苦しんでいる。しかしそれは王者だけではないのだから、私はあまり心配していません。というより、結果よりもどんな走りをしてくれるのかに注目しています。もしかしたら、より進化した、別の王者を見ることができたら楽しいな、と秘かに?思っています。

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コメント(1)

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スマホの国から

カイトさん、5月のコラム月間大賞受賞おめでとうございました!
高橋貢選手がオートレース業界を真に代表する存在になったらいいですね。今後の活躍に期待したいと思います。
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