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遠山競輪研究所

123期デビュー後の初期成績予測( 2023/04/25 )

今年の新人123期も7月の本格デビューの前に、4月30日~6月3日の間に4戦開催される「ルーキーシリーズ」でプレデビューします。
その前の分析として、昨年の新人121期のデビュー期成績のまとめと、今年の新人123期についてデビュー後の初期成績(G指数および競走得点)の
予測を行いました。ご参照ください。

以下目次項目

1. 昨年新人(121期)のデビュー期成績まとめ

昨年デビューした121期のデビュー期成績を下にまとめました。

対象選手:
121期 70人
対象期間:
デビュー期(早期卒業者は 2022年1月~6月、 通常卒業者は 2022年7月~12月)
総レース数(延べ数):
2,550個(内訳:チャレンジ戦 2,309個、A12班戦 238個、S級戦 3個)(※1)

※1)内訳:チャレンジ戦 2,309個、A12班戦 238個、S級戦 3個

1-1. 競走得点、勝率・連対率、および 特昇人数・優勝回数

表1-1に121期全体としてのデビュー期の平均競走得点,勝率・連対率,特別昇班・特別昇級した選手数,各クラスでの優勝回数を集計しました。
比較参考として、過去5年分の新人デビュー期成績も併記しました。
「全選手の平均競走得点」や「デビュー期内のA2特別昇班人数」は、レベルが高かった117期,119期には及びませんでしたが、「全選手の勝率・連対率」は117期,119期に劣らない値でした。

表1-1. デビュー期の競走得点、勝率・連対率、および 特昇人数・優勝回数
卒業期121期(70人)119期(70人)117期(72人)115期(69人)113期(68人)111期(61人)
全選手の平均競走得点77.9578.5479.6178.0076.4876.25
全選手の勝率・連対率53.0% 70.4%54.7% 71.3%53.4% 70.0%49.3% 67.8%47.3% 63.2%46.4% 62.1%
チャレンジ戦勝率・連対率52.1% 69.7%54.3% 71.0%50.1% 67.9%48.8% 67.5%46.0% 62.3%45.3% 61.5%
優勝回数171回164回152回150回135回130回
A12班戦A2特別昇班数16人19人23人16人12人13人
勝率・連対率61.3% 77.3%61.2% 78.2%69.4% 80.5%72.0% 81.4%59.8% 69.8%54.2% 69.2%
優勝回数22回24回50回16回18回20回
S級戦S2特別昇級数1人4人4人4人1人2人
出走数-1着-2着3 - 3 - 052 - 24 - 740 - 27 - 430 - 12 - 81 - 0 - 03 - 2 - 0
優勝回数1回4回5回2回0回0回
1-2. 特別昇班・特別昇級した選手、およびS級優勝した選手

121期でデビュー期内にA2班へ特別昇班した16人、さらにS級へ特別昇級しS級優勝した1人は次のとおりです。

表1-2. デビュー期内の特別昇班・特別昇級
 人数選手名
A2班への
特別昇班
9連勝で昇班14中野慎詞(岩手)、太田海也(岡山)、常次勇人(大阪)、後藤大輝(福岡)、村田祐樹(富山)
安彦統賀(埼玉)、東矢圭吾(熊本)、山口多聞(埼玉)、真鍋智寛(愛媛)、纐纈洸翔(愛知)
五十嵐綾(福島)、真鍋顕汰(三重)、小西晴己(三重)、荒川仁(千葉)
レインボーFで昇班2一丸尚伍(大分)、梅崎隆介(長崎)
S級への特別昇級1中野慎詞(岩手)
S級戦優勝1中野慎詞(岩手)

中野慎詞選手はデビューから30連勝し、チャレンジ制が導入された2008年以降の新記録を達成しました。(それまでの記録は117期・山口拳矢選手の26連勝)
デビュー期内にS級へ特別昇級したのは中野慎詞選手だけでしたが、中野選手と同様に1月に早期デビューして同時にナショナルチームに選出された太田海也選手は、出走数が少なくS級昇級は8月ですが、デビュー9場所目(途中開催中止を除く)で特別昇級を決めており、ほぼデビュー期内の特別昇級と見なしても良いようです。
また中野選手と太田選手はトラック競技の世界大会でも活躍しており、「UCIトラックネーションズカップ第2戦(2023年3月・エジプト-カイロ)」の男子ケイリンで中野選手が金メダル、太田選手が銅メダルを獲得しました。素晴らしいです。
ただ、2023年4月24日現在でこの2人以外でS級昇級しているのは、3連続完全Vを達成して昨日(4月23日)特別昇級となった日高裕太選手だけです。117期・119期のデビュー1年未満のS級特別昇級者がそれぞれ10人・7人だったことからすると、少し寂しい感じがあります。

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2. 121期デビュー初期成績の予測値vs実績値

昨年4月の分析記事「121期デビュー後初期の成績予測」で121期生の本デビュー5戦後のG指数および競走得点を予測しました。予測値に対する実際の実績値の散布図を下に示します。選手によってルーキーシリーズは1戦だったり2戦・3戦だったりしますが、同条件となるように1戦・3戦の選手の実績値は「ルーキーシリーズを2戦分に換算本デビュー後5戦」に補正しています。

予測値と実績値の相関係数[ 1 ]G指数0.72、競走得点で0.73でした。相関の強さは「強い相関関係がある」レベルでした。
予測モデルが的確であれば、水色の実線および緑の実線(実績値=予測値)を中心とした分布になるのですが、実際はG指数・競走得点とも傾斜が若干緩い破線を中心とした分布となりました。

本デビュー5場所後のG指数_予測値vs実績値 本デビュー5場所後の競走得点_予測値vs実績値

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3. 123期デビュー後の初期成績予測

今年デビューする123期生のデビュー後の初期成績(=本デビュー5戦後のG指数および競走得点)を予測します。

3-1. 養成所成績の評価

まずは次式で各選手の競輪選手養成所での成績を評価する総合点(\(ZScore\))を計算します。
(2018年6月の分析「111期生在校成績とデビュー期成績の関係調査」で求めた計算式です。)

総合点の計算式 \[ ZScore = (1.1×ZrtP)+(2.5×ZrtB)-(85×Z2tm)+(50×(Av2T-11.49))+1270 \]
\(ZrtP\)
競走訓練における連対率
\(ZrtB\)
競走訓練におけるバック取得率
\(Z2tm\)
在所中の 200mFD最高タイム
\(Av2T\)
同期全体の 200mFD最高タイム平均値

計算した各選手の総合点は下の表3-1 に付記しました。また以下の予測式でも使用します。

3-2. デビュー後の初期成績予測

上の総合点を基に123期生のデビュー後の初期G指数および初期競走得点を予測します。
ここで言う初期G指数,初期競走得点とは、本デビューして5戦後のG指数,競走得点のことです。(ルーキーシリーズ2戦+チャレンジレース5戦を想定)

上の「2. 121期デビュー初期成績の予測値vs実績値」で示したように、121期生の予測値と実績値の関係は「強い相関関係がある」レべルでした。予測はある程度うまく行っており、今回も同様に 2018年6月の分析「111期生在校成績とデビュー期成績の関係調査」の(1-2)式(1-3)式を利用します。ただし式の係数と切片を若干変更して、予測線が上の 図2-1,図2-2 の実線と破線の中間を通る直線となるように修正します。

123期用に修正した「初期G指数の予測式」および「初期競走得点の予測式」は次のとおりです。

初期G指数の予測式 \[ Giscore = 9.468×Ln(ZScore-200.0)-16.47 \]
\(Giscore\)
デビュー後の初期G指数
\(ZScore\)
養成所成績の総合点
 ※\(Ln()\) は自然対数
初期競走得点の予測式 \[ Riscore = 7.493×Ln(ZScore-200.0)+38.63 \]
\(Riscore\)
デビュー後の初期競走得点
\(ZScore\)
養成所成績の総合点
 ※\(Ln()\) は自然対数

123期選手の養成所成績、および上式で計算した「総合点」,「初期G指数の予測値」,「初期競走得点の予測値」を、総合点が高い順に 表3-1 に並べました。

総合点ベスト3は、1位 佐藤壮志選手(熊本)、2位 荒川達郎選手(埼玉)、3位 篠田幸希選手(群馬)でした。
しかし123期は在所成績で抜けた選手がおらず、4位以下の選手も含めて上位選手の成績はかなり拮抗しています。
1位の佐藤壮志選手は在所成績(競走訓練の得点順位)は4位でしたが、競走訓練では積極的な自力に徹しバック回数はトップでした。松山学院高校(旧松山城南高校)自転車競技部出身です。
2位の荒川達郎選手は在所成績トップであり、卒業記念レースのチャンプでもあります。また123期4人のゴールデンキャッパーのうちの1人です。栄北高校→日本体育大学・自転車競技部出身です。
3位の篠田幸希選手は自在戦な戦法で在所成績3位でした。大学時代はどちらかというと中・長距離で活躍しました。前橋工業高校→日本体育大学・自転車競技部出身です。
総合点は4位ですが、黒瀬浩太郎選手(広島)も注目された選手です。在所成績は2位で、ゴールデンキャッパーでもあります。崇徳高校→鹿屋体育大学・自転車競技部出身です。

表3-1. 123期 養成所成績と本デビュー5場所後の成績予測値 (背景が薄金色の選手はゴールデンキャップ獲得者)
総合点
順位
選手名年齢府県在所成績初期成績予測値
出走
回数
1着
2着
3着

回数
決まり手競走得点200m
タイム
総合点 G指数 
予測値
競走得点
予測値
得点順位
1佐藤 壮志19熊本37167519497379.62410.91秒525.538.3181.98
2荒川 達郎23埼玉3924651221312381.38110.84秒496.237.4181.27
3篠田 幸希24群馬3827431031314181.23311.01秒475.836.7480.74
4黒瀬 浩太郎23広島362291631214281.27210.83秒471.936.6080.63
5西田 優大25広島461710313399677.63710.90秒464.836.3580.43
6保田 浩輔23岡山441395152145177.84611.00秒461.336.2380.33
7山根 慶太23岡山4156117154173.684510.98秒456.036.0380.18
8松崎 広太23茨城4613106153127177.39911.18秒442.335.5179.77
9稲毛 知也24和歌山4422317031071.976511.01秒426.834.8979.27
10出口 謙一郎23岐阜44810012169275.772311.11秒424.934.8179.21
11浮島 知稀22群馬4396713076276.761411.12秒424.834.8079.21
12棚瀬 義大23岐阜4588811437277.51811.02秒419.634.5879.03
13山田 駿斗19千葉4058712082377.351211.19秒415.734.4178.90
14青木 瑞樹23岡山43581012174176.021911.12秒413.934.3378.83
15梶原 海斗23福岡394357213173.075310.74秒407.834.0678.62
16松本 京太24静岡468546037375.063010.85秒397.533.5878.24
17神尾 敬冬23静岡4310755048576.391711.01秒392.833.3578.06
18尾方 祐仁19岐阜418548046375.652411.16秒391.133.2777.99
19中原 航大23岡山443739034374.633511.17秒382.832.8477.66
20竹澤 雅也21福井416349072073.245211.27秒377.232.5577.42
21坪内 恒31千葉422574013375.212810.84秒376.832.5377.41
22斉藤 樂21宮城445797144376.701511.18秒375.632.4677.35
23半田 誠19熊本4433412141072.596011.36秒373.732.3677.27
24山口 直樹27神奈川442796035175.952211.07秒371.732.2577.19
25小笠原 一真23青森455955048274.643411.15秒370.332.1777.13
26立花 昌也24青森395664062374.663311.13秒366.731.9776.97
27村上 翔馬24兵庫4539113042676.861311.07秒361.131.6576.71
28鳥海 創21千葉457752049175.972011.07秒360.531.6176.68
29長松 空吾23大分4112660068477.361111.12秒359.231.5376.62
30枝村 弘樹23宮崎343247031173.794311.42秒353.031.1676.32
31山元 大夢23石川446646007575.542511.41秒350.330.9976.19
32成海 大聖24沖縄373882026377.371011.21秒349.530.9476.15
33吉田 晏生23埼玉444286013273.564611.25秒348.930.9076.12
34松田 昂己21茨城454156022172.755711.21秒348.830.8976.11
35岡部 伶音24福島443674034275.092911.21秒348.530.8776.10
36平野 想真24愛知446780009476.111811.09秒345.930.7175.97
37助川 翔太郎26埼玉406691026476.601611.17秒345.930.7175.97
38望月 嘉人26静岡392471012374.843111.06秒339.330.2775.62
39橋本 宇宙23佐賀431631011572.695811.09秒337.230.1275.50
40菊地 圭22宮城461752013474.063911.17秒336.630.0975.48
41小柳 智徳24長崎452664003574.513611.33秒334.829.9675.37
42堀越 翔己24福岡4543127051175.952111.50秒334.629.9475.36
43峯口 司20長崎435552016375.462611.30秒332.829.8275.26
44内山 慧大21福井372451004273.454911.17秒331.229.7075.17
45都築 巧23高知4081071038778.02511.54秒330.929.6875.16
46石川 航大23宮崎444204033072.366211.33秒330.829.6775.15
47押田 会心22熊本400423010371.756711.30秒325.329.2774.83
48徳永 泰粋20熊本445350015274.113811.19秒324.929.2474.80
49中岡 海20愛媛422111002170.147011.13秒323.829.1674.74
50岡崎 陸登25愛媛4601070004673.524711.25秒323.729.1574.73
51池邉 聖28神奈川415642043475.242711.46秒323.729.1474.73
52望月 湧世19静岡451642011574.313711.33秒321.328.9674.58
53児玉 虎之介21岐阜452275012172.625911.44秒321.228.9674.58
54佐々木 祐太23岩手343243032073.265111.45秒321.128.9474.57
55佐藤 譲士郎23埼玉4521122011173.864211.24秒319.128.7974.45
56櫻木 雄太22福岡421422011371.286911.32秒318.928.7774.43
57石田 典大25東京381462012273.005511.38秒316.428.5774.28
58龍野 琳太郎22岡山431211001271.816611.23秒315.028.4674.19
59依田 翔大23山梨453351003373.025411.35秒311.628.1773.96
60丸林 駿太21福岡435560024474.793211.42秒311.028.1273.92
61岡本 翔21愛媛410524011372.785611.57秒310.428.0773.88
62日吉 克実27静岡391330004073.385011.26秒310.328.0673.87
63牧田 悠生23新潟422560011573.954011.36秒308.827.9373.77
64高橋 海月22青森441041001072.316311.25秒308.027.8673.71
65堀川 敬太郎21福岡451171010172.136411.29秒306.927.7673.64
66宮道 良輔20徳島461463012273.504811.59秒299.227.0673.08
67鈴木 康平28静岡411530004273.704411.47秒297.226.8772.93
68火島 裕輝19愛媛434330016072.556111.57秒290.526.1972.39
69熊崎 麻人23埼玉450640003373.884111.61秒283.925.4771.82
70楠本 政明27福岡440150000171.386811.49秒281.925.2571.64

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脚注

  1. 1. ^  一般的な相関係数の解釈は以下の通り
    0.0~0.2「ほとんど相関関係がない」0.2~0.4「やや相関関係がある」0.4~0.7「かなり相関関係がある」0.7~1.0「強い相関関係がある」

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