私が車券を買った二人、郡司浩平と松本貴治でガチンコなのだからお手上げである。
松本の胸奥には、取鳥雄吾を勝たせたい、もしくは岡山の二人を援護したい気持が、余程のこと強かったのだろうと察せられる。三人の過去の連係を紐解いて見ようかとも思ったが、まだ手を付けていない。きっと調べる事もないまま忘れてしまうだろう。
三番手が別線の番手を止めに行く。結構珍しい光景だけど、別にない訳じゃない。只その善行が、と表せば響きが微妙だから、言い直す。その意気というか気遣いが、予期せぬ隙間をぽっこり生み、その瞬間、誰も彼も脱兎の如くその隙間に雪崩れ込んだ。
競輪は時におもしろい。競輪は時につまらない。私の回顧は常につまらない。
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