午前四時すぎから輾転反側。眠られないのはただ年のせい。おもてが明らむのを待つ。五時すぎに起き散歩に出る。イヤフォンからは『ストレンジャー』、何日か前に聞いていたのかしら? 早朝の曇天にビリー・ジョエルは十分が限度と交差点でiPhoneをいじったら何故かザ・ホワイト・ストライプスに。ガレージ・ロックが鳴ったのとほぼ同時に雨が降り始めた。ああ、今日の始まりはこう来たか。というより今日はこう始まるとあらかじめきまっていたわけだ。と心奥でつぶやき、更に思った。新田(祐大)がズブズブになっちゃうのもむべなるかな。そう吐露すれば、あんた大丈夫かいな? 挙動を訝られそうだ。
九月十三日の松戸FⅠ決勝は佐藤友和に、十月十五日の青森FⅠ初日は竹内智彦に、翌日の準決も同じ竹内に抜かれた。そのどれもが着差「二分の一車身」の楽差しをくった。依りて昨晩(十七日)の決勝は三度目ならぬ四度目の正直を占う一戦だったのだが、結果は表題の通りズブズブだった。正確に記せば、先行態勢にいた道場晃規が新田祐大-竹内智彦のカマシを追っかけるかたちになってのズブズブである。新田が落ちているのか。竹内が上がっているのか。やはり三走もつづけば前者に因る結果と言わねばなるまい。
一週間ほど前、市内の公民館で雅楽を聞く機会をえ、初めて聞く音楽や見る舞いに軀が不思議な感覚を覚え、そのいくばくかを引きずりながら駐めてある車まで戻りエンジンをかけると、かけっぱなしのラジオから『神田川』が聞こえて来た。雅楽とかぐや姫の連想と書けば陳腐この上ないが、ああ、今夕はこういう今夕になることになっていたのだな。ぼんやりとそう想った。満更でもない気分がおこった。
今日の弥彦、第十二競走〈ローズカップ〉の興味は一点に尽きる。細面の?闘う男・眞杉匠が何をやってくれるのか。もしくは何もできないか。終わったあとに私は独りごちるだろう。ああ、そういうことになっていたのか、と。
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