誰かが言った。もしくは書いていた。
「野球の試合は八対七がいちばん面白い」と。
巨人-阪急の日本シリーズの六試合目かなあ、高田のサヨナラヒットで八対七というゲームを観たのはまだ十代のときだ。その翌日のスポーツ紙か何かの記事で読んだのかもしれない。大リーグの名選手の発言として紹介されていたような気もしてきたが記憶は怪しい。
最近はプロ野球をほとんど真面目にというか、一試合通してちゃんと見るということがなくなった。それでも暇つぶしにちらちら野球中継を覗くのだが、昨日は巨人-ヤクルト戦に捕まってしまった。点の取り合いは七回裏に巨人が追い付きその時点で八対八、嫌な予感もちょっとした、面白い「八対七」をすでに過ぎている。「乗りかかった船」じゃないけど、だらだらと最後まで付き合う破目となった。「中座」して湯を使ったりパソコンで競輪を見たりしながらではあるが、「八対八」十二回引き分けという結末を見とどけ「どっと」疲れた次第だ。ま、家でテレビ観戦のわたしなど楽なものだが、実際球場で観ていた客はたいへんだったろう。乱打戦から一転投手戦で帰るに帰れない五時間以上の長丁場だ。でもなかなかお目にかかれない試合に当たったとも言えるわけだから、わたしが何をつぶやこうと只の冷やかしにしか過ぎない。
その昔、先輩は言った。
「競りは競輪の華、そして競輪は準決がいちばん面白い」と。
我が意を得たりと先輩と何回も杯を酌み交わした。そして今でもその想いは変わってはいない。が、「準決がいちばん面白い」は、時として準決しか面白くないに化し、競りは競輪の主戦法の座にはいられなくなった。諸々むろん私見に過ぎないが、一抹の寂しさを感ずるこの頃だ。
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