松浦悠士と郡司浩平と佐藤慎太郎はそれぞれ微差。
烈しい直線の闘走に見ている此方も力が入った。
三人の車券を持っているファンにはたまらない数秒であったろう。
浅井康太中心に見ていた私にも同様の数秒であった。
ダービーの決勝にふさわしい激闘――。
歴史に残る名勝負――。
絶賛の声が彼方此方から聞こえてきそうだ。
ふうむ、だけど、待てよ……。ちょいと視点を変えれば、正攻法の清水裕友がそのまま逃げ、番手は松浦、三番手を外からキメた郡司、託す佐藤と並んで四角をまわりズブズブズブ。所謂「追・マ・マ」、只の追込・マーク・マークってやつでしょうよ? 嫌な感じを与えたらごめんなさい、ふて腐れ気味の愚者の戯言です。
“松浦の番手捲りでもなく、平原の番手捲りでもなく、浅井のひと捲り、郡司のひと捲りを買う”――己の予想のずさんさには穴があったら入りたい気分だが、私の推理を的はずれにしてしまった郡司の走りには感心してしまった。というより、いつまでも郡司に捲り選手のレッテルを貼り続ける私の駄目さ加減を痛感した次第である。
しかし松浦、郡司、佐藤のあの激烈な勝負。あの微差と微差はいったいどういった「差」なのだろう。競輪の女神の「配剤」は単なる気まぐれではなかろうから、やっぱり普段の闘いの「総の差」ではあるまいか。フッとそうおもったりもする。
競輪で完敗を喰らった男はよく、明日はちょっと休もうかとなどと弱音を吐くが、今晩はいつもとちがう。明日(五月十日)の石原颯(向日町・第十一競走)が買いたくってしようがないのだ。おもいあたる理由は只一つ、嫌みったらしいことばかり綴りながらも、今日のダービー決勝が与えた妙な刺激に、どうやら軀が感じているらしい。
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