北松戸駅の改札を出、右に曲がり、階段を降り、駅前を抜け、左に曲がる。と、競輪場の脇に列ができているのが見えた。特観席の入場券を求める客の列だ。どちらからともなく俺も友人も急ぎ足になった。
うだるような暑さの八月の午前中、俺と友人と客たちは文句もいわず炎天下に並んでいた。
あの日から三十年はゆうに経っておろう。今おなじことをやれといわれても降参するしかないけど、まァそんな心配は無用である。明日(八月二十一日)からはじまる松戸記念競輪は無観客開催だから――。
初日のメインの番組をながめている。
新田祐大-佐藤慎太郎の並びは先のオールスター決勝とおなじ、且つ面子はちがうが又四人ラインなら、新田は逃げたい。――は俺の覚わった競輪だが、新田はいつでも新田だからちょいとワカラナイ。
黒沢征治-吉田拓矢もオースター最終日の敗者戦で連携、ワンツーがきまっている。きまっているのだが、展開は黒沢の捲りで吉田のハコ差し。俺の覚わった競輪の順番だと、ここは黒沢の先行一本で吉田は番手捲りまであり、となる。
しっかり組み立て・しっかり勝った。そのように前々回の当欄で触れた、オールスター最終日ラス前第十レースの松浦悠士は見事だった。松浦-香川雄介の捲り・マーク車券をしっかりとって、決勝資金の「ファウンデーション」に廻した人もすくなからず居たことだろう。松浦には地元の和田健太郎かぁ。おそらく松浦のことだから、後ろにもチャンスがある競輪を考えそうだ――。
【松戸記念競輪初日・第十二競走】新田が逃げる。新田か捲る。新田がぶっちぎる。その場合は諦めるとして、買いたいのは二車単の②⑤、三連単の②⑤①、②⑤⑦の三通り。そのこころは、黒沢がガンガン行く、中団は松浦が確保、松浦-和田の先捲りに併せ、吉田-諸橋愛が番手発進、松浦は目一杯外だろうから、和田が内側に入る場面もある。
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