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ふさわしい言葉~熊本記念決勝観戦記

2024/10/06 18:05 閲覧数(204)
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 やりあうと言うか入れかわると言うか、町田太我-松浦悠士-隅田洋介と嘉永泰斗-中川誠一郎の動きに付き合わない深谷知広は冷静だった。脈ありだなとおもった。あいだに嘉永-中川を挟んではいるが、松浦=深谷の画を頭に描くこともできた。あわてて仕掛けたのかそうじゃなく踏みあげたのかは分からないけど、坂井洋は終わった。あとは脇本雄太だ。悠然と構えているようにも見える。が、ちょっと違う雰囲気もした。ま、頭じゃなく二着三着の脇本を買っている手前、そう思おうとしただけかもしれない。何せ中途半端に届いてくれなければ困るのだから。
 どんな時でも、松浦が慌てて番手から出るということはまずない。
 今日の結果を、松浦がぎりぎりまで引きつけ、隅田とのズブズブかつ町田の逃げ残り三着で決まるかに、深谷だけ違う加速で突き抜けた。と括っても間違いではあるまい。松浦の超クールが脇本の不発をよんだとまでは言わないけれども。
 “フランス人はこのような場にふさわしいひとことを持っている。フランス人というのはいかなるときも場にふさわしいひとことをもっており、どれもがうまくつぼにはまる。”(『ロング・グッドバイ』レイモンド・チャンドラー著・村上春樹訳の文中より)
 三着はずしのギャンブルにふさわしい言葉を私は持ちあわせてはいない。
 二車単で買うことが多いのだから、そのまま押さえりゃいいじゃない。と言うなかれ。もともと車券の予想もしくは予想めいたものは、その入り口――山勘やら思い込みやら好悪やら財布の中身やら――からすでに、三連単の「鋳型」と二車単のそれに分別されている場合がほとんどなので(あくまで私の場合だが)、そう単純なものではないのである。なーんて予想自体が単純な人間がつべこべ言うな、ですよね。

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