先の競輪祭の二着賞金は1440万円。木暮安由も金子貴志も二着ではグランプリには届かない。それほどに日本選手権競輪・通称競輪ダービーで稼いだ、桑原大志の二着賞金2850万円が効いた。それ一発で手繰り寄せたS級S班と記せば叱られそうだから、あの一発で掴み取ったプロ根性とでも書き換えるか。FⅠでも何とか決勝という桑原が、記念競輪の決勝でも重い印がつく郡司を競り落してグランプリ出場の権利を得る。これだから競輪は面白い。
一対一ならまず負けないであろう(競輪競技に於いて無意味な比較は承知です)桑原に、大事なところで競り負けを喫した郡司の心中は如何に。
話を落して恐縮だが、週に二回三回麻雀をしていたその昔、俺には天敵が居た。「名人」の尊称で通るYさんが面子に入ると俺はことごとく競り負けるのだ。雀荘のママが各窓のカーテンを降ろし始める午前零時までに大差をつけながらも、日付変更線を境にYさんの猛反撃を喰らい、朝の精算時には真逆の借金という場面が幾度もあった。周りまでもが俺とYさんの「強弱」を意識するようになると、俺にとっていいことはひとつもない。
一度でも弱いところを見せると勝負ごとはなかなか修正が効かない。それは麻雀も競輪も同じだろう。
桑原に競り負けた郡司という「現実」を俺は、勝手にこねくり回し、妄想を楽しんで、こじつけの車券を買うだろう、きっと。
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