小田原記念は「獲りに来た」松井宏佑のドンピシャのカマシ、まさに有言実行の優勝劇だった。二着はゼブラ柄の自転車が目だつ田中晴基。直線幾度も後ろを視認しながらのマーク一杯には笑いがこぼれた。終わってみれば南関筋の逃げ・マークで二車単1,560円、いい配当だなぁと悔やむさもしい俺だ。
一番車を貰った松井は正攻法から下げるだけ下げて「いいところ」からドン! その「いいところ」が何処になるかの勝負だった。清水裕友も佐々木豪も「いいところ」を探るのはおなじなのだが、なにせ守澤太志が、ねちっこく、鬼のように、三番手三番手と追いあげてくるものだから、清水も佐々木も先行態勢もしくは中団以下を強いられ、猶且つ脚も使わされるという始末。突貫小僧に全部やられた印象である。しかしまァ、遮二無二やった守澤はそれでも確定板なのだから大したものだ。あの「三着」は、買ってるほうからすれば――むろん持っている車券にもよるが――小躍りするほど嬉しいかろう。
最終日は、第六競走だけ、ちょいと力んで買った。坂本周輝-箱田優樹-新山将史と青森は三人。前の日(三日目)は坂本-箱田できれいに捲り・マークだったから今日は行っちゃう。坂本より箱田と新山が一つ年長なのも勘定に入れた。なぁに、いつもの「貸し借り」もどきをおもいこんだふるくさい車券である。結果は無残に壊れたのだけれど、競走の詳細は記さない。見れば普通の競輪だしネ(ただ一つ附記すると、新山は脚はないけど競輪をよく知っているな、と感心した場面が数か所あった)。俺が見当ちがいの車券を強振・狂信しただけの話である。
ま、ひとことぼやかせてもらえば、競輪は笑っちゃうほど気まぐれである。
♪きのうまで/この道いつも/きみと歩いて/いたのに/今朝の曇り空が/悪いのか/朝は気まぐれ/朝は気まぐれ/朝は気まぐれ/気まぐれだね、と唄うのは小坂忠だ。
友人Sよ、絶対、治れよ、頼むから、戻ってこい――。
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