『東一局五十二本場』の「東」は「トン」と読ませる。麻雀を嗜む人ならフリガナは不要だろうが、おもわずにやりとさせられる漢字八文字は阿佐田哲也の短編の題名である。
もちろん五十二本場を経験したことも見たことも聞いたこともないが、五本場六本場なら、よくあるわけじゃないものの、たまに当事者にもなり得る。五本場とはおなじ親が六回つづいた状態で、その場から「二翻縛り」なる制約が掛かり、和了(上がり)の条件が変わる。ま、大雑把に簡約すると、安い手では駄目、平場の倍じゃなきゃ上がれない局面を迎えるわけだ。
ギャンブルは反省などしちゃいけない――。などと嘯く俺だが、負けが嵩むとやはり、フォームの修正じゃないが、どこか足らざる箇所を探したくなるものだ
◎から配当がありそうなとこをバラバラと買う。◎○の本線は崩れまいと、無理矢理に無印の三着をくっつける。四百円は買えぬも千二百円あれば……。「五本場でもないのに最初から二翻縛り車券」と記せば何のことやらだが、煮え切らない男の呟きである。
いっそのことド本命か満貫縛りのギャンブルをやろうかい――。
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