競輪をやる最大の理由は「金を増やしたい」からだと書けばロマンに欠けるが、俺の場合は昔からそうだ。
勿論、競輪に求めるものは「闘争」「義侠」「推理」と多々あるが、賭ける行為が伴ってこそと云える。
馬券で儲けた金で背広を新調した寺山修司が、上着の内ポケットに勝馬のネームを刺繍した話が好きだ。
能書ファンの意見ばかり聞いて、ギャンブル・ファンを軽視した結果が現在の競輪だ――。生前の永倉通夫氏がくれたメールが俺の携帯電話にまだ消さずにある。
翌月払いのカード決済で〈メイド・イン・イタリー〉の上着を無理して買う。己をバッター・イン・ザ・ホールの状況に置いて車券に励む。〈決死隊〉にイイ目が出るのは百回に一度か千回に一度か。ほとんどは「打席」にすら立てなくなるのが関の山なのだが、何十年も悔い改めず似たような生活を送っている。
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