平原康多の鬼のごとき頭突き中割りと村上博幸の斬り裂くような運行――。昨日の二番目の準決を見終えたあと俺は、特別競輪の準決はこうじゃなきゃ――と胸奥で喝采していた。
決勝は吉澤純平の走り(二車のラインで如何に平原康多を優勝に導くか)が一番むずかしい――。そう勘づきながらも、「修羅の平原」の絵が強烈すぎ、何とかしてくれるでしょう……。おそらく古性優作は引っ張り役。村上義弘の番手捲りだが、「準決の博幸」がこれまた頭から離れない。
兄貴が先頭で風を切る――弟は別線を止めるだけ止める。
内には誰も入らせない――四番手(実質三番手)には内を締めるという仕事もある。
そんな「村上マナー」や「近畿一枚岩」という「基本」を疎かにしてしまったのは、準決の充分すぎる「刺激」のせいか。
Aがブン回し定石どおりにB-C―Dの番手捲り。その外を新田祐大が「違うスピード」で圧勝だ。「新田・B・C」の至極真っ当な三連単を一枚も「買えなくなくなってしまう」のだから、やっぱり競輪は面白い。
そしてちょっとだけ軀に悪い――。
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