いかにも昭和風情の床屋が近所にある。
店名は「スミ―」。
「理容スミ―」の看板を最初見たとき、長音の「―」を漢数字の「一」と読み違え、「スミイチ」というギャンブルをやる人間にとって不吉な言葉を連想してしまった。
朝の1レースが当たったもののあとはノーホーラ、乃至はそれに似た負け方を自嘲するように、――スミイチだよゥ。枠番時代の競輪場ではそんな溜息言葉をそこかしこで聞いた気がする。視点を変えれば、当時の競輪は一回当たっただけじゃ駄目、数回的中してナンボの上がりというギャンブルだったとも言えるか。
車番式の車券に三連単と時代は流れ、一日二日払い戻しなしにも慣れっこになったと記せば、お前が下手なだけだと返されるだけだろう。枠複も枠単も売ってるぜ、そんな大金打つわけじゃァあるまい——?
仰るとおりだ。ご忠告ありがとう。だけどツマラナイ見栄が邪魔してそうもいかない。流行り廃りを半端に意識する俺は、二車単と三連単の狭間をウロウロおろおろ。
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