元日にS級の決勝という日程が粋である。
昨日の俺の「メイン」は小松島の第十一競走で、買い目も木暮安由=成清貴之とあまり考えずスッと決まり、あとはオッズ凝視、十倍を切る木暮の頭より三十倍近い成清からを本線とした。
絶好ハコの成清は島川将貴の捲りをチョンとブロックして抜け出し、内藤秀久がピッタリのズブズブ「三番九番」態勢である。おいおい木暮はどうした? そのとき白の一番車が猛然と突っこんできたのだ。届け! 届いたか? きわどいぞ。スロー映像に向って届いてくれ! 少し足りないか? 角度を変えた再度の映像ににじり寄る俺。――31までいってますよ。と、誰かが云った。
「13じゃ安いけど31ならけっこうあるんだ——」と俺が呟くのだが周りは怪訝な表情である。
俺は勘違いをしていたのだ。一番車は高原仁志、徳島ライン三番手の選手であり、成清=高原の車券に安いも高いもない。買いにくい、けっこうな穴だ。俺が応援しなければならない木暮は二番車で二センターでとっくに居なくなっていた。あと一周ぐらいで中団が揉み合った時に数字が混濁したのか、そもそも競輪観戦の真剣度が足りないのか、とにかく買ってもいない「一番」に大いなる念を籠めた俺は赤っ恥である。しかも天国から地獄の顛末に挙句は「それなら届くなよ一番!」と捨て台詞を吐くようでは、今年も駄目だろう、きっと——。
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