何事もなかった様に七番手から松浦悠士-佐藤慎太郎がカマシ捲ると、それならばと乗り替えた古性優作-山田久徳が追い付きざまに更に捲った。あとは雁行両線の行方と慎太郎の判断だが、真後ろからの捲りには為す術なしに近かった。
山田の優勝で今年の高松記念は幕を閉じた。
二車単の一番人気から八番人気、三連単なら一番人気から十番人気迄が、両線の表裏、若しくは松浦の頭、佐藤の頭、古性の頭車券で占められ、四国の四人も中川誠一郎も二着三着にも現れない。「単純にどっちかの捲りじゃないの?」ちゅう車券に多くの金子が賭されたと云う訳だ。
古性にも松浦にも小細工などなく、まるで「取れた所から捲り」――唯一赤板の処で中団確保のせめぎ合いがあるにはあったが、割とあっさりしたものだった――風の決勝戦だったと解せば異論もあろうが、古性松浦ともに貫禄が違うとばかりに、原初的な競輪に徹したように私には見受けられた。
ま、車券をはずしといて、そんないいぐさはなかろうよ、と自身に野次を飛ばした上で、妙にさばさばした競輪だったなあ、もちろんわるくない方の意味でね。
附記。S級S班で決勝に乗れなかったのは宿口陽一だけ。迷いの中に居るのか、単なる体調の問題か、私には知る由もないが、「泣くな宿口、宿口泣くな」とエールを送っておこう。嗚呼、このいいぐさも失礼かも知れない。別に泣いてなんかいませんよ、と返されるのが落ちだろう、長い一年はまだ始まったばかりだ。
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