松阪の直線もっと長くなかったか?
というのは冗談です。どこまで行ったって岩津裕介は差せない。
松阪競輪「開設七十三周年記念」は郡司浩平のひと捲りで終幕した。
山田庸平が切って、菅田壱道-新田祐大がぶったたき、郡司が五番手から、上がりかけた浅井康太はこぼれ八番手になった。新田と山田の車間はけっこう空いている。これが――わたしの買った車券にとって――いい展開なのかだめなのか判断つきかねた。正直にもうせば「さむいな」と思ったとおもう。まぁ坂本修一まできているのだからまったくのはずれなのだけれども、なんだか最近おもしろいように「あたり」をすりぬけるような買い方ばかりしている気がする。まるでマラドーナのドリブルのように。そんな上等なもんじゃなかろう。ゴールのはるか遠くでひとりボールをまわしているだけのこと。
♪ひとりベッドで今日もイヤホンヴォリューム全開、騒ぎたいのにロックが足りない、マーシーもっともっとギター鳴らして、ぼくの部屋をライブハウスに変えて、ここがどこだか忘れちゃうほど、マーシーもっともっとギターを弾いて、と、ザ・コレクターズがシャウトしている。
競輪中継の音を消しても上げても、テレビ画面にいくら近づいても、おれの部屋を競輪場に変えることはできない。最近つくづくそうおもう。
全国どこの競輪も買える・見られるなんて、おれが競輪をはじめたころには夢にもおもえなかった。それを便利すぎると文句をつけはじめるたぁ、いよいよ先が見えた気もする。
秋の気配。
動け軀よ。
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