初日のメインに深谷知広の名前があった。
豊橋は深谷の「古巣」ともいえるバンクだ。番組も地元の扱いなのだろう堂々の一番車を与えていた。せっかくの最内枠を生かさねばと思ったのか、深谷は中団にこだわった。最初しばらくは、新山響平-佐藤慎太郎の三番手で単騎の伊藤旭と併走になった。一車なので折れて入れたけど、四番手は誰が降りてこようと譲らなかった、二度三度からだで当たる競りをしのいでその位置を護りきった。単独になったあとの最終四角、深谷の「ターボ・エンジン」がうなりをあげた。新山-佐藤-伊藤だってけっこうかかっているように見えたけど、きれいに抜きさった。二着の佐藤の時計が十一秒二で三着に粘った新山は十一秒四。ぜんぜんわるくない。深谷の上がりタイムはなんと十秒六! 当地のバンク・レコード十秒五にゼロ・コンマ一秒およばなかった。ちなみに十秒五の記録保持者は深谷の師匠にあたる金子貴志である。やっぱり深谷はひとがよい? 話は散るが弟子深谷の番手から金子はいくつタイトルをとったのだったか。いつでも深谷は師匠おもいなのである。
十日ほどまえの陸奥バンク、深谷知広九年ぶりの大レース優勝を思いだす。あのレースも今日に似た怒濤の四角一気だった。渡邉雄太との静岡連係を重んじるためにヨコを使ったことも連想される。
どこまでも下げて脚力まかせ。そんな深谷はもうどこにもいない。
紆余曲折あったゆえのモデル・チェンジと表すのはまとはずれかもしれないけど、今、最新型の深谷知広の競輪を見るのが面白い・興奮する。
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