冒頭からまるでつまらん話で恐縮だが、先日の当欄に載せた浦和競馬の項で、飛び込みで買った第二レースは長い長い写真判定になったと記したが、決定は枠連《七-七》であった。明日から始まる競輪ダービーは第七十七回。やはりギャンブルはどこかでつながっている。
更に話題は飛ぶ。久留米競輪場で中川誠一郎が通算五百勝を達成した日の夜、静岡競輪場では川村晃司の五百勝が出てしまった。
出てしまったと表したのには訳がある。川村は静岡の前に富山を走っていて、いかにも五百勝が出そうな番組が毎日組まれていた。実際一番人気ではなくともまあまあ売れてもいた。ここまで記せばおわかりだろう、私は毎日「五百勝」を買っていたのである。
初日は七着――まあこういう記録は敗者戦で出るものだから。二日目が六着――ふうむ、目標不発は不発だけどちょっと覇気がないな川村……。三日目の三着はやっとこさきた三着という態で、このまま川村を追っかけていたら幾らあっても金が足りない、と《降りた》矢先の五百勝だったのでけっこうショックだった。受けた《鈍痛》がボディブローのようにまだどこかに残っている。
「今、野村哲朗(東京・44期・引退)を追っかけてるんだよ」――平塚駅近くの路上で偶然会ったKさんが言った。野村は典型的な捲り一発屋だったと記憶する。当世はパソコンとインターネットで選手の追っかけなど簡単にかなうが、当時は現場まで見に・買いに行かねばならなかった。
野村が走っていた平塚はひら開催のはずで、タイトルにある金属バットを買った平塚は日本選手権開催中の平塚だから、それとは別の日だ。ヘッドが太めで白っぽい塗装がかっこいいバットだった。その頃よく松井秀喜が出るヤンキース戦の中継を見ていて、ソリアーノを知り、その独特の打撃フォームを採り入れようと購入したのだった。何をやるにも道具から入る人間の典型である。
下手っぴいな草野球。病みついた競輪。毎日がそれだけでよかったあの時代が懐かしい。
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