毎年の平塚記念を《湘南ダービー》と呼んでいたので、本日より《平塚ダービー》が開幕した、と表すのが親切なのかしら。
第十レースで犬伏湧也の豪快な逃げを香川雄介が楽に抜いた競輪を見て、ふっと俵信之が坂本勉を抜いた平塚ダービーを――三着も佐藤正人で北三人きれいに入った優勝戦を――思いだした。と書いたはいいが、はたしてあのときの坂本がどんな仕掛けだったのか、俵がどのくらい差したのか、はっきりしない。というか憶えていない。
今なら三連単で取り込んでいるかもしれないが当時は枠単のみ。ズブズブを打って逃げ残りを押さえたのかしら。私も同行の同級生も中途半端な金が懐に残り、共に後味がよくないと、翌日やっている競輪場(どこだったか完全に失念している)を探し、一日遅れの残金費消と相成ったわけだ。調べたら何と1990年の出来事である。
ダービーが平塚競輪場で開催されるのは、三谷竜生が日本選手権連覇をはたした2018年以来となるが、脇本雄太-三谷-村上義弘-村上博幸でブン回した優勝戦を――僅差ズブズブまでいったけど脇本がぶっ放しに強かった優勝戦を――忘れないでいる。五年前のその年そのあと、脇本はオースターに親王牌をぽんぽんと獲った。そして三谷の方は前述のダービー、高松宮記念杯、競輪グランプリを全て脇本の番手から優勝し、競輪史に残る稼ぎ頭となったのだった。
最終の第十一レースで脇本雄太-古性優作があっさり負けた。それを見た私にふっと、何かの記憶が降りてくるということはなかった。
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