寺崎(浩平)やらないんだ(叩き合わないんだ)。
でもバックじゃ行くだろうから、結果「ダブル番手捲り」の展開じゃない。押さえてねえぞ――。
声に出すこと出すことまとはずれだった。
が、おっ、深谷(知広)行った。けど、こりゃきびしいや。まん丸のお皿バンクだもの。だけは的中する。
細間宏通著『うたのしくみ』を読んではじめて、映画『カサブランカ』の劇中、サムがピアノで弾き語る佳曲「時の過ぎゆくままに」には、オープニング・ヴァースがあることを知った。
〈忘れないで/そう、キスはいつもキス/ためいきはためいき/変わらない大事なこと/時が過ぎても/恋人たち/唱える「アイラブユー」/信じることば/どんな未来にも変わらない/時が過ぎても(訳・細間)〉――有名な一節の前に、〈それを歌い出す理由を述べる部分、すなわち、オープニング・ヴァースがありました。それはこんな内容です。〉と細間が書いた訳詞はこうだ。〈わたしたちのいるこの時代が/産み出した新しい悩みは/スピードと新発明と/四番目の次元にのっかってる/おまけにくたびれてしまうあの/アインシュタインの理論/だから地に足をつけて/リラックス、気を休めよう/何が進歩しようと/何が証明されようと/人生ってやつは単純で/動かしがたいもの〉――同曲は一九三一年の歌であるが、本歌の歌詞はもちろん、前歌の精神も今に通ずるようだ。
私はよく、むかしの競輪、いまの競輪、という言い方をするが、前掲の歌詞を借り、一箇所「人生」を「競輪」置き換え、記す。
だから地に足をつけて/リラックス、気を休めよう/何が進歩しようと/何が証明されようと/競輪ってやつは単純で/動かしがたいもの。
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