むかしの邦画や昭和のニュース映像に知った街並みがあらわれると、甘酸っぱい気分が起こる。何かの拍子で競輪場など映ろうものなら、それだけで胸のあたりが痛くなる。
三十五年前の競輪場にタイムスリップすることができたら、ああ、これだ、これ、となるのだろうか。それとも、冬は寒く、夏は暑い、きたなく、混雑した遊び場に降参するだけか。トップ引きが二角まで引っぱる競輪に、まだ興奮をおぼえるだろうか。まるきり一本棒の競輪は懐かしいのか新鮮なのか今と変わらないのか。
改革のことばが減ったとだれかが云い、そんなことはないとだれかは返す。
競輪は進化するスポーツだ――各媒体にすてきなキャッチコピーがおどる。
改革。
進化。
万能のごとく使っていることばも、おれにはきなくさくきこえる。
たしかに競輪は漸次新しくなった。施設はむかしにくらべ見ちがえるようにきれいになった。種目も増えた。で、何かが変わり、何かが生まれ、何かが、気づかぬうちに失われた。
「何が美しく生まれた美しさで、何が失われた大切なものか――いつも考えること。」と、柳田國男が述べている。
もうすぐ、競輪グランプリだ。
グランプリだけは変わらないのか、グランプリだって変わっているのか。
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