昨晩たまたま〈心おどる あの人の本棚〉なる、著名人の本棚を拝見するというテレビ番組を見た。今回は作家金原ひとみの本棚であった。冒頭の、ずらり並んでいる本の背表紙を流し映す画のなかに阿佐田哲也の文庫本二冊を見つけた。その一冊が『ギャンブル党狼派』であることをすぐに視認した。そのあとの映像でもう一冊は『麻雀放浪記青春編』であることもわかった。「ズボンで着陸」(「ギャンブル党狼派」収録)を作家女史も読んだのかと思うと一方的に「同士を得たり」の気分となった。単純にうれしかった。
他人の本棚を見るなどという経験はおそらく十回に満たない。だから比較にはならないのだけど、ひとの本棚に『ギャンブル党狼派』の背表紙を見たのは初めてだった(『麻雀放浪記はSの本棚というかカラーボックスにあった』)。
若き日のTちゃんの西国分寺のアパートの本棚には真新しい「資本論」がそろっていた。
話は横滑りするけど、Tさん(前述のTとは別人のT)のレコード棚に下田逸郎『飛べない鳥、飛ばない鳥』を見つけた時はなくした宝物に巡りあった気分だった。おれもこのアルバム出た時すぐに買ったんですよ。今はCDしかないけど。やっぱりアナログいいっすよねえ。さすがTさんとよいしょしたけど、じゃァやるよ、とは言わなかった。すこし期待したンだけど。
Gさんは立派なステレオセットを持っていた割にはレコードは二十枚くらいしかなくて、そのすべてがマイルスだった。 Wのアパートの押し入れには『出目研究』(記憶がはっきりしないので誌名は正式ではないかも)が何十冊も積み上げられていた。出目研究は私も二冊買ったことがあった。一度は大宮公園駅(大宮競輪場の最寄り駅だ)近くの本屋さん、もう一度は新宿東口の駅ビル(現在のルミネ。当時の名称がいま出てこない)の四階だか五階だか(とにかく上層階だった記憶がある)に入っている書店で購入した。当時としては二千円近い(もしくは以上)高価な本だった。立ち読みされないようビニールに袋綴じされて陳列されていた。Wの押し入れの出目研究のビルの横には箱入り本の『人間革命』が全巻(かなりの冊数だったからそうだと思う)ならんでいた。
Sは消息不明。
TちゃんもTさんも還暦になるかならないかの年に逝ってしまった。
Gさんは北海道に帰った。砂川だったか上砂川だったか。『北の国から』の再放送など見たりすると、Gさんとの昔を想いだし、頭がドラマの筋から離れてしまったりもする。
Wは千葉県の何市だったか忘れたが公務員になったと風の噂で聞いたけど、それも二十年以上も前の噂だからあてにはならない。
現在の住居に越してきてから、家にあがってきた友人知人はMひとりだけなのだが、やつが私の小さな自室の粗末な本棚の中に『ドサ健ばくち地獄』の初版本を見つけおどろいたのが――すぐその場ではなく後日そう言った気がする――今でも快く記憶に残っている。
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