名古屋バンクの特性を訊かれてもアアダコウダと正鵠を得ない俺だが、名古屋競輪場の名物風景なら即答出来る。それはバック・スタンドの中央付近に設置されている台湾料理屋「味仙」の広告看板だ。
　中継のカメラにも、テレビの解説者が展開を説明するディスプレイにも映し込まれるから、記憶に残っている人も多かろう。
　二年前の名古屋ダービー、特別観覧席に陣取った俺は、一日車券三昧で過ごしたのだが成績は散々。〈最終〉を誰から買っていたのかも忘れたが、もうふて腐れ気味で、どうせこんな車券など来やしない。それより早く街に出て、麦酒を飲み餃子が食べたい。と、美味しそうな配色の「味仙」の看板を疲れた眼でぼんやりと見ていた。
　ギャンブルは負けると、その不充足を埋めるべく食欲に走る・性欲に走る？　まァまァ儲かった日は案外おとなしく粗食、部屋で独りニヤニヤ金を数えていたりする。金が増えたら銀座直行でイタリアン・スーツだなんて、ただの与太話であります。
　※今晩のギャンブー放送で喋った、俺のダービー決勝戦の目です。
〈名古屋・第十一競走〉③②⑥と⑦①⑥