初日も準決も本命を背負って負けた選手が、お帰り(欠場)なのかどうかは、敗者戦の固いとこを打ちたい人にはギャンブルの肝であり、最終日も走るなら勇んで乗り込む事になる。
今の競輪は簡単には欠場しないというか出来ないので、そんな心配もしなくて済むが、堅いはずの最終日の負け戦で、平気で飛んでしまう事態もけっこうあるから始末に負えない。
三十代の時分には、今日の八レースは鉄板だと勇躍出張った事もあったし、安い一番人気に大枚ぶって小躍りする結果を得た事もあったが、思い返すに、あと二個レース残る状況の八レース(当時は十レース制だった)に有り金賭した事はなかった。要ははずれてもずるずる最終まで小張りする位の金はポケットに残しておいた。又、たとえ小躍りした場面でも、払い戻しを済ませすっと競輪場をあとにするということも出来なかった。恰好の狙い目があろうとなかろうと、朝一のレースから行こうと途中からだとしても、結局は最終レースに有り金を突っ込む羽目になるというか、要は最終に沢山の金子を賭する様に案配するギャンブルの性癖はずっと変わらない。
どうせ最終が勝負になっちまうのなら、今日は何処何処の第何レースなどと力む事なぞせず、なるべく現場に行くのは遅らせる。馳せ参ずる振りの最終オンリー。そんな策を練ったりもするのだけど、最終だけ買うように競輪場や競艇場に行くというのは存外にむずかしく、どうしても早めに着いて只でさえすくない持ち金を四散してしまったり、もしくはあまりにぎりぎりに家を出る時間を設定したがため、間に合わないというのではなく、今からたった一個レースだけのために……ふっと腰が重くなり「やーめた」となったりもする。特に、夏の日盛りに表に出て行くのはこれ又踏ん切りが必要となる。
それなら家で昼寝でもしていて、最終だけ電話投票で買えばいいだけの話だろうと言われそうだけど、そんな言われ方をされてはお仕舞いなのであって、論を立てる事はむずかしいのだが、私みたいな固陋にとっては、ちょいと譲れないところなのである。
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