青函連絡船で本州から北海道に渡ったのは十八九の頃か。海上にガスが発生しており、同行の友人は石川さゆりの『津軽海峡冬景色』の一節を替えて、〽津軽海峡~ガス景色――と得意げに唱っていた。
今晩の函館競輪場はすこし霧が出ていて、最終バックから二センターのところが見えにくい。補正されたテレビの映像でこれだから、競輪場での観戦はもっと大変に違いない。
あれは何年前だろう、もっと濃い霧の函館競輪を幾人かで車券を買いながらテレビ観戦していた。◎の後ろで競りだったのかなァ。併走のまま一団が見えなくなり、出て来た時には決着がついていて大騒ぎしたことがあった。当たったのか外れたのか忘れたが、ブーブー文句タレながらも、けっこう笑って楽しんだ記憶がある。
肝心要の勝負どころで九人が「霧のトンネル」に消え、抜け現れると隊列がガラリ一変している――。そんな競輪もたまにはだが、面白いかもしれない。
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