暇人の僕は決勝の正式着順を逆から見た。
九着は三谷竜生、それだけではほとんど何んも見えてこない。
八着が松井宏佑、僕の買った車券が紙屑になったのを知ることはできるが、まだ全貌ははっきりしない。
七着に棚瀬義大、ここで「おや?」といぶかる。捨て身で駆けて捲られる運命にあると僕が推考していた棚瀬が、捲ってしまうはずの松井や三谷竜に先着している。にわかに佐々木悠葵の優勝が見込まれ始めるわけだ。
六着は三谷将太、五着は……もうよそう。
ガンガン逃げる棚瀬を前提にした上での、松井、三谷竜、佐々木の駆け引きであり、カマシ捲り合戦が、僕の想定だったけど、棚瀬はけっこう流し気味で、佐々木-芦澤大輔はカマシというより押さえ先行に近く見えた。下げた棚瀬もさら脚とは言わないがもう一丁しかける脚はじゅうぶんに残っている。思惑がはずれた三谷竜の捲りは泡を食ったようでもありまるで出なかった。
三着に森川大輔で四着は西村光太。棚瀬ラインはただ逃げるだけと僕はばっさり切った。不当な扱いをした僕は穴があったら入りたい気分である。
競輪は派手な空中戦もあれば、ごく地味で淡々としたレースもある。あたりまえだが後者のほうが多数であろう。奈良の三三バンクで「あの打鐘」では、今日の決勝も地味な競輪に大別されることだろう。三谷将太の遮二無二さだけがやけに目立った今年の奈良記念であった。
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