高原永伍氏の訃報を報道で知った。
「逃げの神様」の全盛期を私は知らないが、先輩記者の酒場での力説、阿佐田哲也のエッセイや山松ゆうきちの漫画で「その強さ」を見たことがあるような気にもなる。
故人の最後のレースを憶えている。たしか大レースの前検日で地方に出張していた。南関の記者仲間から聞いたその番組はまるきりの先行一車だった。これなら勝てるだろう。有終の美だ。みんな盛り上がりラストランの車券を買った。平塚にいる記者に頼んだのだったか。記憶が曖昧だけど、もしそうだったとすれば受けた記者は大変だったろう。永伍さんがきれいに逃げきって配当二百円あるかないかだったと思う。
取材中に高原選手と行き会うことがあったはずだがあまり記憶がない。おそらく私の方が臆して近づけなかったのだろう。スポーツ報知の記事にこうあった。「1989年に当時の最下位クラスのB級に陥落。翌日のメンバー表を記者が見せると『高原買うなら焼きいもを買え』がいつもの永伍さんのフレーズ、口癖でもあった。」私はこの記者がうらやましい。
合掌。
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