大レースは賞金も高い、点数も高い、そして注目度も高いから、各選手の以後の「格付け」――単純な数字序列ではない評価(選手が選手に与える、選手が客に与える)をも含めて――に影響する。だから簡単には勝てない、勝たせてもらえない。
二日目の第二競走、絶好ハコで先行車との車間を切って四角一気、やっと出たな荒井崇博の五百勝と思ったら「まさかや」、瓜生崇智に交わしの交わしを食らった。
ぬか喜びの二車単四百七十円は一転裏目四千両に。痛恨ではあるが、痛快でもあった。
九車の大レースはなかなか勝てない、簡単には勝たせない。もちろん七車の賞金の安い競輪なら簡単に勝てる、勝たせちゃうなどと言う気は毛頭ない。ないのだが、容易に――と見えてしまうことは九車より七車の方が数多いというのが実感である。回りくどいことを述べているが畢竟どうでもいいことでもある。仮に簡単に勝てちゃうとしても、簡単に車券が取れるわけじゃなく、たとえ簡単に勝てると簡単に車券を獲ったしても(これまた七面倒な言い回しだねえ)、黒字計上を出せるとは限らないのだから。
S級上位の選手が一堂に会する大レースはやっぱりむずかしい。
とくに超一流がひしめきあう本日のメイン、「二次予選A」の三個レースは車券下手の私には手が負えない。五着権利というのがまた悩ましい。難解ついでに五着権利なら五連単で売ったらどうかしら。馬鹿な一言をつぶやいた。
午前中ずうっと考えた末にぽっと浮かんだのは次項。
中野慎詞の三十連勝は見た。はじめて負けた九着大敗も見た。昨日(十六日)の二着も見た。ここまで来れば、中野の初物三着も見届けたいもの。だから三着付けじゃ、ふざけるな! の罵声を浴びそうだ。
遊びはむずかしければむずかしいほど面白い。今正確には引けないけど、阿佐田哲也がそんな意味の文章を残している。
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