午前中に電話が鳴って、――今日は雨だから映画はまたにしましょう、と告げた女の理由は、雨の日は湿気で気にしている癖毛がどうにも始末に負えないからだった。デートの約束が反故にされたので競輪場へ行ったという話ではないのだが、昔は朝から雨が降ると、ギャンブル場もピンク映画館も普段の二三割増の活況を呈した。作業服のオッチャンたちで満々となった松戸競輪場や、どこも降雪で中止になったのに一か所だけ開催した西武園競輪場の大賑わいがひどく懐かしい。
窓を開けると雨の音に混じってバイクのエンジン音が聞こえる。
小銭をかき集めてでも最終レースを買いに川口オートまで歩く――。そんなガッツなど微塵もなくなった俺は蟄居して日がな一日ディランを聴いている。
〽あんたがよくしようとすると やつらは石で打つだろう いったとおりに やつらはあんたを石で打つだろう 家へ帰ろうとすると やつらは石で打つだろう あんたがひとりぼっちでいるとき やつらは石でうつだろう でも わたしはきっと それほどさびしくはなかろう だれでも一発やられるべきだ――。今日三度目の『雨の日の女』が部屋に流れている。
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