午前中に都内で散髪、御茶の水に廻りレコード屋を物色してついでに楽器屋も。日が落ちる前には大井競馬場に仲間と集合、夜はまだまだ展がってゆく。若い――といっても三十代四十代の頃だ――時分は、休日にいくつ遊びの予定を入れられるかで躍起になったものだが、還暦をすぎた今では一日ひとつの予定が精一杯のようだ。
今日は昨晩から思うところあって、午前中の病院のあと競輪場に赴くつもりだった。通院といっても一ヶ月分の薬をもらいがてら、医師と雑談をする程度のことだから、疲労度は低い。比較的すごしやすいという本日(三十日)の天気予報も勘定に入れた。
が、駄目だった。病院の待合室にすわっている辺りから「やめとこうかな」と萎える気分がそろりと。情けないったらありゃしない。
あれは三十代前半だったろうか、午前中に半日ドック――ま、健康診断の類だが、当時の健保は懐具合が豊かで現在に比べ検査項目も格段に多く、たしか昼飯(保健士推奨の食事?)まで出た記憶がある――を終えたその足で競艇場に直行した日がうそみたいだ。
せめてもの抵抗でおれは、百貨店の文具売り場で付箋とボールペンの替え芯を購入してから、敗走した。
♪見覚えある痛み、見覚えある苦み、これもいつかのバチか、終わるまで終わらないんだろ、言うこと聞かない身体、言うこと聞かない心、このままダメになるような、弱い夜があるのさ、Sya-rarara 洒落た日々から遠く離れて、とSIONが唄っている。
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