二台縦列に駐車している後方の方のマイクロバスに、係員がてきぱきと客を誘導している。俺が前から二列目の補助席、その前の補助席に初老の男性が座ると係員は、はい満員ですと運転手に告げた。バスは少しバックしてから右車線に出た。平井駅から江戸川競艇場まで二十分近く掛かるのだろうか。駅前を出発してしばらく進むとバスは川の上の橋を渡る。すぐに高速道路の下をくぐり、そこから細めの道を何回か曲がりながら川沿いの道に辿り着くと、ほどなく競艇場だ。
三十五六年前、ギャンブル・ホリデーの水曜日に開催された江戸川(関東圏の公営ギャンブルはここだけだったと記憶する)を想い出す。最終が跳ねたあとの平井までの送迎バス(当時は路線バスを貸し切った大型車だった)はすし詰めに近い状態、しかも交通渋滞もすごかった。苛立つ客の一人が「停車ボタン」を押すと何人もが追従して、車内は怒声と笑声が混じってそのあとどうなったのだったか。根負けした運転手が数人ずつ降ろした記憶もあるのだが、俺の勝手な妄想である可能性も否めない。
プール間近の席に座っていると海に近い川の匂いがする。向う岸に立ったり座ったりしている数人と警備員は、第一ターン・マークから第二ターン・マークの攻防を眼前で見られるのか――。自転車が停まっているし川に隣接したサイクリング・ロードか何かの脇の場所なのだろう。ちょっと羨ましい。その上方には首都高、大きな川のむこうには高層マンションが建ち並び、ずっと先にはスカイツリーも拝める。
第七競走は二艇が落水、俺が買っていた三号艇はぎりぎり難を逃れたが、大きく水を空けられてしまった。四艇がゴールして暫く、舳先だけを浮かべ漂うボートをぼんやりと見ていた。
イン逃げ、イン逃げと続いて第八競走、俺は一番から四番だけ切って(理由は素人の浅薄ゆえ記す価値なし)、オッズを勘案しながら舟券を案配したが、結果は泣きたくなるような「四-一」だった。
また最終まで我慢出来ず――。
帰りは船堀ゆきのバスに乗った。
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