この二三日ジミヘンを集中的に聴いているのは、昔、「俺にはずっとジミヘンばかりを聴きよるジミヘン週間みたいのが時折あって……」という鮎川誠の雑誌のインタビューを読んだ影響だ。
猿真似ついでに車券にもアレンジして、マーク屋を意識するマーク屋月間とか、どうにも「わからない」選手のいる番組の車券を敢えて買う(本人を買うわけではない)週間とか、酔狂な生活を嬉々としてやっていたこともある。
競輪選手の好調は落車がなければ三ヶ月はもつ、というのは誰かの受け売りだが、けっこうあてになった。が、現在の競輪では好調の賞味期限が短く感ずるのは、おそらく私の見立てが甘いことに尽きるのだろう。
四十年近く前、競輪場に着くと、見のがしてはいけないのは前日のVTR映像だった。競輪場によって流すレースの数も、流れる時間もまちまちだったが、そのときになると、テレビの前にぞろぞろ客があつまってきた。インターネットも何もない時代、まさに一回こっきりのライブ上映だ(一日二回もようしてくれた「親切」な競輪場もあったかな)。選手の気配――勝ち振り、負け振り、スピードの切り替え……等々――を真剣に観察しながら、あちらこちらで、ああでもないこうでもない。
あんなにレースの映像に飢えていたのに、簡単に全国の競走が――しかも自宅や携帯電話で――見られるようになった今、逆に熱心に見ようとしないのが情けない。
汚く、サーヴィス精神ゼロ、そんな「仏頂面」の競輪場を懐かしく想う日が来るなど思いもしなかった。
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