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耳かきで掬うほどの理性

2017/07/16 8:43 閲覧数(767)
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 昨日の伊東の最終競走、初志貫徹なら七-二だったと十二時間後に発しても、何をほざいているのだと失笑されるのが落ちだろう。夢中で逃げそうな渡辺雄太に対してカマシ逃げ一本の深谷知広は消す。前検日に大遅刻、乗り過ごした先の名古屋土産(俺の好物である坂角煎餅だった)を手にした写真の新田祐大も消す。最近は平原康多とガチャガチャやっちゃう稲垣裕之だが直前の失格もあるし、ここは全員権利の特選だ。このごろちょっと緩慢な平原とはいえ鼻歌混じりで三番手確保から簡単に捲る車券のはずだったのに……。顔がほっそりした深谷を見てしまい。先行だけじゃないなどと渡辺の口から聞いてしまい。深谷の番手から浅井康太かァ? やっぱり南関、郡司浩平の番手捲りが出ちゃったら悔しい、二段駆け党としては。平原と武田の場合は常に後ろからだとも俺は常々説いている。
 フラフラフラフラ迷ったすえに買ったのは七-九と九―七。理由は凝視状態の二車単のオッズから浮き上がった数字(ずっと前の記憶で平原と稲垣の筋違い車券というのが薄っすら頭をかすめた気もする)としか……。ま、それより「打つ」ことを避けたかったのだろう。最低ちゃんだ。
 昔は締切間際までよくあれだけ迷えたものだ。窓口の近くで泣きそうになりながら頭痛がするぐらい新聞とにらめっこしていた、あの時代が懐かしい。
「(前略)ある男はこの競走は穴が出そうだと、厩舎のニュースを訊き廻ったが、訊く度に違う馬を教えられて迷いに迷い、挽き馬場と馬券売場の間をうろうろ行ったり来たりして半泣きになった挙句、血走った眼を閉じて鉛筆の先で出走表を突くと、七番に当ったのでラッキーセブンだと喜び、売場へ駈け付けて行く途中、知人に会い、何番にするのかと訊けば、五番だという。そうか、やはり五番がいいかねと、五番の馬がスタートでひどく出遅れる癖があるのを忘れて、それを買ってしまうのだ。――人々はもはや耳かきですくう程の理性すら無くしてしまい(後略)」。織田作之助の『競馬』からの抜き書きである。

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