昨日、所用を済ませに東京の八王子に行った。空は快晴。山景もきれい。おもてを歩くと風が心地よかった。昼間の用事だったから、済んだらそのまま中央線~西武多摩川線を乗り継ぎ多摩川競艇場に行く。GⅠの開催がおこなわれていて、その四日目である。競輪のGⅠほど格上ではないにしても、競艇素人の私でもいくらか名前を知っている選手がけっこう集まっている。競艇のGⅠでいくらかの金を手にして、翌日の競輪のGⅠ――弥彦で開催される寛仁親王牌――に日帰り遠征を仕掛ける。そのような、遠大ではないにしても、いかにも確率の低そうな計画を立てていたのだ。
話は散るがその昔、多摩川競艇場の予想屋が、今月からねえ、多摩川はねえ、ほらイン逃げばっかり、イン絶対有利の多摩川はおもしろくないと嫌われるっちゅうことで、一マークのブイを何センチか動かしたってわけよ。解る? これがけっこう効いてる。気づいてるお客さんもいるでしょうけど、ご存じないお客さんもけっこう多い。ま、それだって競艇はやっぱりインだからねえ。だけどちょっと違ってきた。このレースも……。ふうむ。見事の能書に惹きこまれた私は予想を買った。手渡されたわら半紙にスタンプされていたのは一から二点。なんだいあれだけ力説しておいてイン逃げかい。とは思っものの、ここは一なのだろうとその通り買った。見た。四号艇のカマシというか捲りというか、とにかく四から外でもなく一でもなく、二か三の二着だったと記憶する。一段落して同じ予想屋の前に行った。ねえ、言った通りでしょう。あの一が回れないんだから、と言ったか、もうすこし異なる言い回しだったかぜんぜん憶えていないけど、予想屋の口上は「回転」が上がった様に見えた。もう一丁予想を買ったのだったか、次のレースがどうだったかは思い出させない。
つまらない長広舌の回想に付き合わせてしまいご寛恕を。
閑話休題。
遠大な目標は達成されなかった。
というか多摩川競艇場まで行き着けなかったのだ。理由はあまりに私的なので記さない。
そして暦はひとつ繰られ今日、十月十九日となる。
余裕の金もないのに弥彦往復はちとつらい。
ならば今日こそ多摩川参戦なのではなかろうか。
うん、そうだ。昨日同様快晴である。
昔日の予想屋はいないにしても、多摩川競艇場は私が今までの人生で一番多く行った競艇場なのだから、それだけで理由は立つ。
弥彦GⅠが駄目なら多摩川GⅠ。それが公営ギャンブルをたしなむものとしてあるべきすがたではなかろうか。
小休止。
いろいろ御託を並べた愚者はまだ自宅に蟄居したままだ。
理由はあまりに愚かなので申さない。
深谷知広、突っ張ると思ったんだ。後ろが諸橋愛ではね。だけど弥彦の走路では無理がある。
新山響平にしてもそう。強いけど三着がいいとこ。このバンクはね。
テレビの前でひとりぶつぶつ呟いている愚者ひとり。
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