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一九六九年製のレスポール・カスタム~小田原記念優勝戦

2023/04/15 19:52 閲覧数(320)
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 一月二十九日に逝ってしまった鮎川誠の特集が「ギター・マガジン」の五月号で組まれていることを知り購入したら、なんと鮎川の愛機、一九六九年製レスポール・カスタムの原寸大ポスターが付録として雑誌に差し込まれており、塗装が剥げ落ち、パーツが錆び付き、異形と化したエレキギターの写真に圧倒され、せっかくだからと部屋に貼る場所はないかとあれこれ思案したものの、傷だらけの黒いレスポールは神々しくもあり、なにしろ等身大だ、圧が半端ない、丁寧にたたみなおして仕舞い、たまに「尊顔」を拝するのがいちばんよかろうということに落ちついた。
「ああだこうだ言うヤツも勝手に言えばいい。/そういうのはあんまり気にしなくてもいいと思います。/好きなことを精一杯、短い人生の間にやる。/これはロックンロールの教えです。」
 鮎川らしい真っすぐな発言が好もしい。
 誌の頁を繰りながら小田原記念のテレビ中継を見ている。
「電器ギター持って、バンドやるのなら、ブルースを拝んどかなきゃいかんのやないけ?」
 第十レース、先行屋の北井佑季に競られた守澤太志に火がつく。まずもって北井を打ち捨てねばならない。が、北井の覚悟も相当なもので競りは思いのほか長びいた。早めに出た飯野祐太の後ろが競りとなり眞杉匠-雨谷一樹のカマシごろとはやや意外だが仕方ない、競り合いとブルースは同義だしな。
「パンクは毎日生まれ変わるけん、だから俺は今日もパンクなんよ。」
 第十一レース、新田祐大は突っぱるぞ、突っぱってもいいんだぞ、とばかりに松井宏佑の内に自転車を差し込みながら、踏んで踏んで、松井に踏ませて踏ませてのイン粘り、和田圭も百も承知の順応でぴったり追った。最近のというか今年の新田の競輪はパンクである。
「新しいものは、古うなる。そういうのにしがみつくのは、うんざりするわけ」
 第十二レース、まいりました、と感心するくらいの南関独占劇だった。深谷知広も郡司浩平も内藤秀久も各々いーい仕事をしていた。新しい競輪と昔からある競輪の「ハイブリッド」連携と記せば異論もあろうけど。
【小田原記念優勝戦】正攻法に深谷知広-郡司浩平-内藤秀久-佐々木龍、南関には突っぱりありと読めば単騎の神田紘輔がとりあえずその後ろにいる? 車番から察するに中団には眞杉匠-雨谷一樹で、後方から新田祐大-和田圭が押さえるなりなんなり展開を動かす役回りを担う、が、大ぐくりの想定となる。
 一、深谷は引っぱり役と決め打つ。
 二、眞杉-雨谷は既述したように準決で思わぬ好展開がまわってきた。新田が先に動いてくれるなら、半分あてにして待つ? 再びの幸運も希める?
 三、新田は準決で最近の得意技ともいえるイン粘りをきれいに成功させた。思い返せば今年最初の記念、立川では松井宏佑-郡司-和田健太郎-岡村潤-高橋雅之の南関作戦を分断している。
 四、ただ、想定の隊列で始まったとすると、そこから新田がイン粘りで南関に対抗という画には結び付きにくい気もする。それよりなにより郡司はもう一回同じ轍を踏むことだけは絶対に避けたい。
 五、南関作戦は義侠にあふれたブルースのようなもので、「パンクは毎日生まれ変わる」の段で新田がしゃにむに何でもやる。と記したところで、ふっと、だけど新田はけっこうスタート速い、もし新田と眞杉の位置が逆になったとすれば……新田と眞杉の役回りが真逆となるわけだ。ただでさえ下手な考えがすわぐらぐらしてきた。
 結、新田イン粘りの確証を得られないのなら南関ブルースに共鳴して郡司から。だけどパンクも――新田も――好きだ。いきなりのこじつけで恐縮だが眞杉にはレスポール・カスタム級の「出力」がある。依りてきれいに南関では、いや地元では決まらない(ちょいと説得力には乏しいかしら)。だからといって郡司、新田、眞杉で確定板独占という画も無理があるので、二車単の①②と①③を買います。
 長広舌の割にはあたりまえでつまらん車券だと言われたら? 
「ああだこうだ言うヤツも勝手に言えばいい。/そういうのはあんまり気にしなくてもいいと思います。/好きなことを精一杯、短い人生の間にやる。/これはロックンロールの教えです。」と鮎川の明言で返します。
    



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