皆様、おはようございます。
今週もお疲れ様でした。週末、土曜日を迎えます。
いつもでしたら、「では今日のオートの予想を・・・」という事になるのですが、今日は私にとって特別な日でもありますし、ちょっと趣向を変えたコラムで、皆様のご機嫌を伺いたいと思います。
去年の年末(スーパースターの前あたり)に一度、「Kazz流オートレース観戦ガイド」というテーマでコラムを記させて頂きましたが、この辺りで、より基本に立ち返ったオートレースガイドというものを書き置いてみたいと思い立ちました。
で、オートレースを知り、学び、車券で勝っていくためには、やはり、様々な予想ファクターとなり得る「数字」に着目していく必要があると考えています。「Gambooオートレース伝道師」DJトミーさんがよく仰るのですが、「オートレースは数字のギャンブルである」・・・私も、まさしくその通りと考えております。という事で、オートレースに纏わる様々な「数字」を紐解く事で、「ギャンブル」としてのオートレースを少しでも知って頂けたら・・・との思いで、本日のコラムをお送り致します。
サトマヤが生まれるちょうど15年前にこの世に生を受け、本日で齢38となる私がお送りします・・・「Kazz流オートレース講座~数字で学ぶオートレース~」。
■ハンデ
オートレースを語る上でまず外せない「数字」・・・それは「ハンデ」です。
現在400名強が活躍しているオートレースの世界ですが、その能力には一定の差が有り、それが普段の競走タイムに表れています。能力差がある中でギャンブルとして成立させるため、近況の成績に基づいたハンデが付けられます。(オートレースにおけるハンデは距離のみです。基本的に、重量等他の条件は同じです。)
原則的にこのハンデは、「ゴール線で全員が同着となるように」付けられたものです。実際にはそんな事は無いのですが、これによって様々なドラマが生まれる事もまた事実です。
ハンデは、主力ハンデ、その10m前、更に10m前・・・というように、各選手のハンデが10m単位で相対的に決められています。そして、出走8選手の中で最もハンデが軽い選手が0mに置かれ、それ以外の選手は、「その選手との相対的なハンデ」に基づいて、10m、20m・・・というようにスタート位置が決められていく事になります。また、同じハンデにおいては内側の方がスタート有利という事も有り、格が下の選手の方が内に置かれます。基本的にこの順番は、全国ランキングに基づいて付けられます(例外有り)。
また、その位置で勝ったり負けたり着順が安定しているうちは、ハンデの変動はありませんが、余りにその位置で負け続けている場合、ハンデが10m軽くなったりします。また、連勝を続けていたり、優勝したりというタイミングで10m重くなったりします。
そして、現在は1号車が0mに置かれ、一番ハンデの重い(最重ハン外枠の)選手が8号車というように、枠番の組み方が全国で統一されています。この形になってから既に4年近く経っており、今やオートレースの定番となっています。それ以前は、特に統一の枠番構成というものはなかったですが、主に8号車が0m(軽ハン)というのが定番であったと記憶しています。従って、浜松で言いますと、鈴木勲、神戸俊雄、加藤寛一と言ったあたりは常に8号車、ピンクが似合う選手という印象です。・・・あ、割と初心者の方向けのコラムにも関わらず、いきなりディープな話題になってしまいましたね。
このハンデの有無が、予想にも影響していきます。あくまでハンデは予め決められたもの、しかし選手やエンジンの調子は日に日に変わっていきますので、普段は良いんだけど今節は調子が悪い、というような選手は、そのハンデがマイナスに働きますし、その逆(ハンデ軽いけど調子が良い)ならプラスに働きます。その点も見極めつつ、車券を予想します。
■試走タイム
オートレースの予想の上で最も重要な、また最も「オッズを作る」ファクターとなるのが、「試走タイム」です。
試走は、前のレースが終わった直後に行われます。まず1周目はゆっくり観客側を走り、2周目に足慣らしをして、ゴール線の前で青旗が振られる3周目が試走となります。試走は、全力疾走が義務付けられています。ここで1周のタイムを計測します。それが終わると、選手たちは走路内にある待機所に向かいます。
その後、試走タイムが発表されます。試走タイムは「1周(500m)の計測タイムを5で割った値」、即ち100m平均のタイムとなります。これを、小数第2位までの数値で表します。例えば「3.40」であれば、100m平均で3秒40、つまり1周を17秒ちょうどで走った事になります。
やはりレース直前のエンジン気配を示す数値となりますので、予想の軸になる事には変わり有りません。また、基本的には試走タイムの良い車から売れていきます。これが「オッズを作る」という事になるのですが・・・、必ずしも「1番試走が良いからレースでも1着」・・・とは限りません。その辺りは後述のファクター等を併せて使いながら、予想していく事になります。
■上がりタイム
「上がりタイム」は、レースにおける100m平均のタイムです。試走とは異なり小数第3位(第4位四捨五入)で表します。
通常、レースは1周500mのバンクを6周回、これにスタート後の部分:スタートラインからゴールライン(0mハンデ線から100m)の距離を加えた「3100m」で行われます。即ち、上がりタイムは、レースタイム(スタートしてから先頭の選手がゴールするまでのタイム。通常は1分45~50秒程)を31で割った値となります・・・但しこれは0mハンデの選手についての話。例えば10mハンデの選手は、更に10m余分に走る事になりますので、距離は3110m。よって、レースタイムを31.1で割ると、100m平均のタイムとなります。20mハンデの選手は、更に10m余分に走る(距離は3120m)ので、31.2で割ります。以降、31.3、31.4・・・と、後ろのハンデの選手は割る数が増えていきます。
ここで1つ、実例を。
例えば、0m~50mのハンデ戦で、レースタイムを「1分48秒0」(=108秒)とし、現実的には有り得ないですが全員同時に横一線でゴールした場合・・・それぞれの選手の上がりタイムは以下のようになります。
0mの選手=108秒÷31.0=3.484
10mの選手=108秒÷31.1=3.473
20mの選手=108秒÷31.2=3.462
30mの選手=108秒÷31.3=3.450
40mの選手=108秒÷31.4=3.439
50mの選手=108秒÷31.5=3.429
つまり、ハンデが重い選手はそれだけ速い「上がりタイム」が必要という事になります。まぁ、余分に長い距離を走るわけですから、当然と言えば当然ですが・・・で、この「上がりタイム」による選手間の比較というのも、予想の上では重要な手法となります。
出走表を見ると、選手毎に最近の「上がりタイム」が掲載されており、これを基に「重ハンデの選手が軽ハンデの選手を逆転できるか」を予想します。例えば、0mの選手が3.48近辺で、50mの選手が3.43近辺では、計算上「並ぶところまではいくけど、逆転できない」事になります。ただ、3.42近辺まで出れば「逆転できる」事になります。その辺りも予想のファクターとして取り入れています。
■試走偏差
「試走偏差」とは、上記2つを応用した数字です。即ち、「上がりタイム」から「試走タイム」を差し引いた値で、そのものズバリ、「試走とレースでタイムにどれだけ差があるか」を示す指標となります。
まず、大前提としてこの値はプラスになっていなければなりません。つまり、試走タイムの方が数字が少ない(=タイムが速い)という事ですが、1車ずつ単独で走る試走の方が、抜きつ抜かれつやるレースよりもタイムが速くなるのは当然ですので、逆に試走の方が悪かった(試走偏差がマイナス)としたら「試走を全力でやっていなかった」と見なされ、レース後に罰則が付けられます(レース自体はその順位で確定)。但しこの考え方は良走路のみに適用されます(雨絡みの走路の場合は、試走とレース時で走路の状態が変わっている可能性があるため、適用できない)。
また、プラスであっても余りにその差が小さい(0.02以下)の場合、反則失権にはなりませんが、戒告の対象となります(試走戒告、3着以内の選手に適用)。
その上で・・・この試走偏差は選手によってバラバラで、特徴があります。特に、試走でインコースを小さく回るタイプの選手が、試走偏差が小さい傾向にあります。小さく回る分試走タイムが遅くなるのですが、レースになると他の選手と遜色が無くなる・・・という事です。そして、概ね選手毎の平均的な試走偏差が分かると、「試走タイム+試走偏差」で、それぞれの選手の「想定の上がりタイム」を算出する事が出来ます。例えば、平均試走偏差が0.05の選手Aと、0.10の選手Bが同じハンデに居り、Aの試走が3.40、Bの試走が3.36であったとします。もしその平均試走偏差がそのまま当てはまるとすると、Aの上がりタイムは3.45近辺、Bの上がりタイムは3.46近辺となり、試走タイムが劣勢であるAの方がレースでは勝つ事になります。
前述の通り、オートレースでは一般的に試走タイムが良い選手から売れていく傾向にありますが、必ずしも「1番試走が良いからレースでも1着」とは限らない、穴車券になるポイントがここにあります。
■スタートタイミング
スタートタイミングは、スタートの瞬間からコンマ何秒で動き出したか、という、スタートの反応速度を見るための指標です。
たいてい、2桁の数字で表記され、例えば「10」とあれば、スタートの瞬間から0.10秒後に動き出したという事になります。
殆どの選手は「01」~「19」の間で切る事が出来ますので、「20」以上になると、タイミングとしては遅い部類になります。スタートの早い/遅いを見極める、スタート後の順位を予想するために重要なファクターの1つになります。平均的に「20」以上の選手は、スタートに関しての評価を下げなければいけないと思います。
ただ、このスタートタイミングの情報を見る際に注意すべき点があります。以下に、2点挙げます。
まず1つめは、スタートタイミングが少し遅いからと言って、スタート後の順位も負けてしまうかと言うと、必ずしもそうではない、という事があります。反応が少し遅れても、スタートの後の直線でローからトップにギアを上げる(チェンジを入れる)後に、伸び返す事もあります。従って、スタートタイミングだけではなく、1コーナーまでの伸び方も含めて、選手それぞれのスタートの巧拙を評価する必要があると考えています。
そして、もう1点。
スタートライン前方にある大時計(針が12時の向きに到達したところがスタート)は、ハンデが後ろになればなるほど見えづらくなります。50m、60mといったハンデからスタートする選手の中には、「大時計ではなく、前のハンデの選手がスタートするのを見てスタートする」という場合もあります。そうなると、スタートタイミングは自ずと遅くなります。
従って、例えば、最近ずっと格下相手のレースで50mや60mのハンデに置かれていた選手が、今日は相手も強くなって10mや20mのハンデからスタートする、というようなケースの場合、最近のスタートタイミングがコンマ20~30というような比較的遅いタイミングであったとしても、だからと言って「その選手は最近スタートに課題が有る(だから今日も遅れるかも)」と決めつけない方が良い、と考えています。スタートするハンデラインが前になれば、大時計も見やすくなり、本来の自分のタイミングで切る事が出来るようになります。逆に言えば、普段から前のハンデラインでスタートしているにも関わらず、タイミングがコンマ20~30・・・であれば、その選手は本当にスタートに課題があると考えて良いと思います。
■走路温度
直近の船橋G1黒潮杯が良い例だと思いますが、レース全体を支配する数字として、この「走路温度」は重要なファクターになります。もちろん、全てのレースに即当てはまるという事ではないですが、総じて走路温度が高い状態(40度以上)ではタイヤが滑りやすくなるため、追いが利きづらい(ハンデの軽い/先行選手有利の)展開になり、走路温度が低い状態(20度近辺)ではタイヤがうまく食いついてくれるため、追いが利きやすい、と言うよりは格上選手が本来の力を発揮して追い込む展開になるというのが基本となります。レースに影響のある走路コンディションとしては、走路温度だけではなく、湿度、風向、風力等、いろいろな諸条件が挙げられますが、レース展開を考える上で最も基本的なファクターはやはり走路温度という事になります。
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以上、概ね基本的な「数字」のファクターに焦点を当てて、1つ1つ解説をして参りました。
と言っても、オートレースを始めて間もないうちは、まず1つの予想ファクター・・・やはり最も基本的な「試走タイム」をベースにして予想していく事が重要だと思っています。実は最初のうちは、私もそうでしたが、いろいろ考えずに「試走タイム」をベースに予想していた方が的中率が高かったりします。ただ、慣れてくると、オートレースの奥の深さ・・・「それだけでは無いんだな」という感覚が身に付いて行くと思いますので、そんな時には、今日のコラムに挙げた話を思い出して頂ければ、と思います。
さて。
誕生日を迎えた今思う、今年1年の抱負は・・・
と申しましても、特別な事はありません。
何ら今までと変わらぬスタンスで、オートレースを始めとした公営競技を愛し、向き合い続ける事。
せっかく人生の大きな趣味として出会う事が出来たのですから、一生かけて追い続けていきたいと思います。
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生誕38周年記念コラム「Kazz流・数字で学ぶオートレース講座」
2015/05/16 6:17 閲覧数(1164)コメント(4)
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店長(座長)
お会いした時の印象では30代前半でしたが、後半なのですね。
若く見えてうらやましい(笑)
非常に参考になり、且つわかりやすい、素晴らしいコラムです!!!
次回は、「天候(走路状態)」について教えていただきたいです。
晴れと雨では、予想(決まる車券)がまったく違うというのが、競輪ファンには理解不能ですので。