シャワー・ヘッドから撒かれた常温の水が顔面に当たり、その息苦しさを伴う感触が小学校のプールの授業を連想させた。恥ずかしながら俺は中学校に上がるまで水のなかで眼を開けることが出来ず、25㍍プールの横幅(10㍍ぐらいかなァ)を死にものぐるいでやっと泳げる程度だった。ぎゅっと眼をつぶって息継ぎもしない水中の十数秒は妙な宇宙だった。
そういえば何十年も海水浴というものに縁がない。軀はとっくに潮水の浮力を忘れている。
真夏の小田原競輪で百五十円ぐらいの◎○を一本で打ったことがあった。世間並みには大した金額ではないが、当時の俺にとっては一ヶ月分の稼ぎを賭す大勝負だった。
もしかすると、もう、海面にゆらゆら漂うことも、ド本命にブチこむことも叶わぬ人生なのだとしたら、寂しい。
どんなに暑くとも夏は終わる。
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