昨年、現役を離れて初めて高知競輪場に参加した。
真夏のG3で、
汗だくになって無我夢中でイベントや解説に奔走したことが思い出される。
そこの初日に出来事は起こった。
特選11Rで、武田豊樹以下8選手が「追走義務違反」で失格。
場内は騒然となった。
そのレースの私なりの見解を述べたいと思う。
まず、武田豊樹が率いる関東勢。
そして、当時飛ぶ鳥を落とす勢いの根田空史がいた。
もう一人の自力選手は、中村一将。
彼は単騎での闘いとなった。
ラインが出来るのは、武田と根田の南関東勢のみ。
格として武田の方が上だが、
若い根田は、近況で武田を大きく上回っていた。
両者の力比べが、ファンの関心を呼ぶ一戦だった。
いうなれば、横綱の立場の武田は受けて立たなければいけない。
下手な小細工で勝っても、今後の闘いにプラスにならないと考えることは容易に予想できた。
出来れば、力でねじ伏せたい。
しかし、近況を見ても力勝負では圧倒的に根田に分があった。
前団に一将。
中団に根田ライン。
そして、後方から武田ラインが攻める形となる。
武田が動いて、中団の根田を身動きできないように抑える。
ここで、中団で引かない根田に武田はチャンスと思ったはずだ。
押さえられるだけ押さえて、
自分の仕掛けるタイミングを少しでも遅くして勝つチャンスを掴みたい。
そこに武田に隙が生まれた。
前にいる一将は、はっきり言って脚力では一枚も二枚も落ちる。
いつでも捕えることができると読んだはずだ。
厳しい言い方をすれば、眼中になかった。
新鋭根田にばかりに気が行ってしまっていた。
そして、武田が原因で8選手が失格となった。
ファンの期待に応えたい、
勝ち方にもこだわりたいといった姿勢が、
逆にあのレースを生んだのだと思う。
しかし、
ギャンブルスポーツとして成り立っている「競輪」にはあってはならない出来事だった。
そこは武田も重々承知していると思う。
そこで、今回の高知G3の初日に武田豊樹が来場する。
混乱を避けるために前宣伝は控えてはいるが、
本場で本人があのレースを詫びるというのだ。
今の、閉塞感漂う競輪界再生の第一歩だと私は思う。
何でも、隠そう隠そうとすれば不信感を買う。
そこを、あえて武田をゲストとして招き入れた関係者のみなさんにも敬意を表したいと思う。
この一件が、競輪再生の小さな一歩となることを願って止まない。
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