「万車券を狙おう！」第二回目の分析です。前回行なった「オッズと配当の分析」の続編となります。
今回はオッズにおける人気集中の度合いでレースをパターン分けし、オッズ個数・発売枚数・配当数の分布および車券回収率の集計をパターン別に行なって、万車券の出現率や回収率の差異を調査しました。

１. S級戦およびA12班戦の9車立て

まずは「S級戦およびA12班戦の9車立てレース」の三連単車券について調査します。

1-1. オッズ分布のパターン分け

過去3年間における「S級戦およびA12班戦の9車立てレース」の三連単1番人気オッズの倍率を調べました。
表1-1.がその分布ですが、全体の約90%は 5.7～31.6倍の間にあり、約9%が5.6倍以下、1%が31.7倍以上という結果です。

対象期間：

2017/1/1～2019/12/31 の3年間

対象条件：

S級戦およびA12班戦で、9車立てのレース（当日欠場がおらず、3人以上ゴールしたレース）

該当レース数：

41,738レース

上表の分布を踏まえ、1番人気のオッズ倍率によりレースを次の 4パターンに分類します。

1) 超人気集中型

1番人気オッズが 1.0～5.6倍

2) 人気集中型

1番人気オッズが 5.7～9.9倍

3) 標準型

1番人気オッズが 10.0～17.7倍

4) 人気分散型

1番人気オッズが 17.8倍以上

オッズ個数・発売枚数・配当数の分布および車券回収率について、以下で分類した4パターンの比較を行なってみます。

1-2. オッズ個数分布の比較

オッズ個数分布の比較です。超人気集中型では1番人気車券に票数が集中するため 必然的に他車券のオッズは高くなり、最頻値は 3162.3～5623.4倍のオッズ帯になります。現状システムのオッズ表示限界値 9999.9倍以上の車券も15%を超える数となります。
超人気集中型から人気分散型へ向かうに従って分布の山はオッズ低倍率側へ下がっていき、人気分散型では 1000.0～1778.2倍が最頻値になります。

1-3. 発売枚数分布の比較

発売枚数分布の比較です。超人気集中型・人気集中型では低倍率車券の売上が高く、そこが最頻値となります。しかし標準型・人気分散型ではその傾向は無く、分布も中央値を中心とした山形になってきます。

1-4. 配当数分布の比較

配当数分布の比較です。どのパターンでも基本的には上の発売枚数の分布と近似しています。しかし細かく見ていくと、例えば 超人気集中型の 1.8～9.9倍のオッズ帯では 発売枚数の比率＜配当数の比率 となっていてその差は結構大きいです。

下表から各パターンの万車券出現率（100倍以上の配当の比率）を算出すると、
超人気集中型：29.71%　　人気集中型：40.59%　　標準型：49.25%　　人気分散型：59.33%
となります。よく聞く「1番人気に人気が集中した場合に、人気選手が負けた時の配当は大きくなり万車券が出やすい」ということはなく、「人気が分散した場合に万車券は出やすく、人気が集中した場合は万車券は出にくい」というのが正解のようです。

1-5. 回収率の比較

回収率の比較です。超人気集中型では低倍率帯の回収率が高く、高倍率になるほど回収率は低くなり 177.9倍以上のオッズ帯では70%を下回っています。
しかし標準型や人気分散型となると、むしろ低倍率帯より 100.0～999.9倍の万車券のほうが 回収率が高くなってきます。
「万車券を狙おう！」をテーマとすると、「S級戦およびA12班戦の9車立て」では超人気集中型を除いた、つまり1番人気が5.7倍以上のレースで万車券を狙ったほうが良いようです。
（ちなみに人気分散型の9999.9倍以上の回収率が84.49%と高くなっていますが、ここはオッズ個数が少なく 1個の超高額配当の的中で回収率がグッと上がる領域です。偶発的な値であり 真の回収率はもっと低いと推測されます。）

２. A12班戦およびチャレンジ戦の7車立て

次に「A12班戦およびチャレンジ戦の7車立てレース」の三連単車券について調査します。

2-1. オッズ分布のパターン分け

過去3年間における「S級戦およびA12班戦の9車立てレース」の三連単1番人気オッズの倍率の分布です。
全体の約90%は 3.2～17.7倍の間にあり、約6%が3.1倍以下、約4%が17.8倍以上という結果です。

上表の分布を踏まえ、1番人気のオッズ倍率によりレースを次の 4パターンに分類します。

1) 超人気集中型

1番人気オッズが 1.0～3.1倍

2) 人気集中型

1番人気オッズが 3.2～5.6倍

3) 標準型

1番人気オッズが 5.7～9.9倍

4) 人気分散型

1番人気オッズが 10.0倍以上

オッズ個数・発売枚数・配当数の分布および車券回収率について、以下で分類した4パターンの比較を行なってみます。

2-2. オッズ個数分布の比較

オッズ個数分布の比較です。超人気集中型では分布の山の頂点は10万車券帯(オッズ1000.0倍以上）にありますが、超人気集中型から人気分散型へ向かうに従って分布の山はオッズ低倍率側へ下がっていき、人気分散型では 316.3～562.3倍が最頻値になります。「S級戦およびA12班戦の9車立て」と同様な特徴です。

2-3. 発売枚数分布の比較

発売枚数分布の比較です。特徴としては「S級戦およびA12班戦の9車立て」と同様ですが、1番人気車券への人気の集中度合いがより高くなっています。

2-4. 配当数分布の比較

配当数分布の比較です。上の発売枚数の分布と近似していることや、超人気集中型の 1.0～5.6倍のオッズ帯では 発売枚数の比率＜配当数の比率 となっていてその差が大きいことは「S級戦およびA12班戦の9車立て」と同様です。

下表から各パターンの万車券出現率（100倍以上の配当の比率）を算出すると、
超人気集中型：10.75%　　人気集中型：18.12%　　標準型：26.40%　　人気分散型：35.34%
となります。「S級戦およびA12班戦の9車立て」と同様に「人気が分散した場合に万車券は出やすく、人気が集中した場合は万車券は出にくい」という現象があります。人気分散型の万車券出現率は超人気集中型の万車券出現率の3倍以上となり、「A12班戦およびチャレンジ戦の7車立て」のほうが その差はより顕著となっているようです。

2-5. 回収率の比較

回収率の比較です。これも「S級戦およびA12班戦の9車立て」と同様の特徴があります。
超人気集中型では低倍率帯の回収率が高く、オッズ帯が56.3倍以上になると回収率が70%に達することはありません。
しかし人気分散型となると、むしろ低倍率帯より 100.0～562.3倍の万車券のほうが 回収率が高くなってきます。
「万車券を狙おう！」をテーマとすると、「A12班戦およびチャレンジ戦の7車立て」では標準型や人気分散型でオッズ低めの万車券を狙ったほうが良いようです。