遠山競輪研究所

【ガールズケイリンの分析2】( 2018/08/23 )

ガールズケイリンについて 人気順と車番,および競走得点差に注目して分析を行い、その結果をもとに期待値100円越えの車券購入方法を模索しました。今回はその後編です。

5.車券シミュレーション1

表5-1 に、対象期間(2016年7月1日 ~ 2018年6月30日)2,169レース の人気別2車単車券の的中率と回収率をまとめます。

表5-1    2車単車券の人気別 的中率と回収率(%)
1着 × _
2着 的中率 回収率 的中率 回収率 的中率 回収率 的中率 回収率 的中率 回収率 的中率 回収率 的中率 回収率
----- ----- 10.33 68.16 2.67 52.33 1.01 33.93 0.69 50.18 0.41 32.96 0.18 28.94
32.46 69.63 ----- ----- 1.52 54.77 0.60 50.19 0.37 24.87 0.32 79.81 0.05 7.04
16.92 84.62 3.37 74.91 ----- ----- 0.60 33.16 0.32 65.03 0.05 12.59 0.05 9.77
10.10 85.21 1.57 46.75 0.51 30.96 ----- ----- 0.14 21.42 0.09 16.63 0.14 39.12
× 6.04 89.05 1.57 78.92 0.32 20.57 0.23 58.47 ----- ----- 0.14 41.08 0.05 21.24
3.32 92.42 0.69 84.87 0.23 29.55 0.37 85.59 0.14 48.99 ----- ----- 0.05 4.04
_ 1.61 68.27 0.65 56.39 0.28 30.37 0.05 7.47 0.00 0.00 0.05 4.37 ----- -----

前回分析の表3-1 で ガールズケイリンでは (1番人気)選手の1着率が大変高いことを示しましたが、上表では 選手からの車券は 他の車券より回収率も高いことが分かります。

さて、表5-1から、「的中率 3%以上,回収率 75%以上」の組み合わせだけを抜き出すと、

  • (的中率 16.92%、回収率 84.62%)
  • (的中率 10.10%、回収率 85.21%)
  • ×(的中率  6.04%、回収率 89.05%)
  • -注(的中率  3.32%、回収率 92.42%)

となります。この4本を対象期間の全ガールズレースを購入した場合、的中率 36.38%、回収率 86.23% となります。他車券より回収率は高いのですが、人気順の組み合わせだけでは 回収率100%超えの車券を見つけるのは難しいです。

ここで、前回分析でわかった 「内枠(1~3番車)は、外枠(4~7番車)に比べて2着率が高い」 を適用して、2着を内枠(1~3番車)に限定して車券購入をシミュレーションしてみると、

表5-2    2着を内枠条件とした場合の2車単
1着 2着 適合レース数 的中数 的中率 回収率
内枠の   974 174 17.86%  87.57%
内枠の   984 118 11.99% 104.18%
内枠の × 1,015  75  7.39% 102.61%
内枠の 注  910  41  4.51% 119.47%

4本の合計:適合レース数 2,139、購入車券数 3,883、的中数 408、 的中率 19.07%、回収率 103.19%

となります。トータルで回収率103.19% となり、利益を生む100%越えを達成できています。

結果論ですが、2着を絞って ×-注の三点買いにすると、回収率はさらにアップして次のようになります。

表5-3    2着を 内枠の×注 とした場合の2車単
1着 2着 適合レース数 車券数 的中数 的中率 回収率 損益
内枠の × 1,998 2,909 234 11.71% 108.42% 24,490円

表中の ’損益’ は、対象車券を全て100円購入した場合の損益です。

6.期待値としての検証

上シミュレーションで ~内枠の×注への2車単車券を購入した場合の回収率として 108.42%を得ましたが、今後も 期待値 108.42円の車券となるでしょうか?

回収率期待値について、どちらも 車券購入額に対する払い戻しの割合で同じものですが、
ここでは 実レースでの実績を回収率(単位は%)、今後の予測を期待値(単位は円。100円購入に対する払い戻し期待額)と呼ぶことにします。

今回の 対象期間 2016/7/1~2018/6/30 のシミュレーションを ガールズケイリン母集団から抜き出した標本と考えて、母集団の期待値(=今後の期待値)を区間推定してみます。

期待値(回収率)= 的中率 × 的中平均配当

表5-2の「-内枠」のデータ(次の値)を例に区間推定の計算をしてみます。

  •  984本の購入に対して 118本の的中。
  •  的中平均配当 868.7円、平均配当の標準偏差は 486.9円。
  •  的中率 11.99% 、回収率 104.18円。
6-1. 的中率の推定

二項分布の95%の信頼区間の推定式を用いて、母集団の的中率を推定すると、

的中率 ± 1.96 × √ 的中率 ×( 1 − 的中率 )/ レース数
= 0.1199 ± 1.96 × √ 0.1199 ×( 1 − 0.1199 )/ 984
= 0.0996 ~ 0.1402

です。これと 的中平均配当 868.7円を掛け合わせて 期待値を計算すると、

期待値 = 86.54円 ~ 121.81円

となります。

6-2.的中平均配当の推定

t分布による区間推定式を用いて、母集団の平均配当を95%の信頼区間で推定すると、

平均配当 ± t × 標準偏差 / √( 的中数 − 1 )
はt分布表の[自由度=的中数-1,両側確率 0.05]の値で、今回の場合 1.98)
= 868.7 ± 1.98 × 486.9 / √ 118 − 1 
= 779.6 ~ 957.9  (円)

です。これと 的中率 11.99% を掛け合わせて 期待値を計算すると、

期待値 = 93.49 ~ 114.87円

となります。

6-3.期待値の推定

上の計算結果から、「-内枠」の2車単車券の期待値は、

  • 的中率の推定による 期待値   :86.54円 ~ 121.81円
  • 的中平均配当の推定による 期待値:93.49円 ~ 114.87円

を得ました。期待値推定の下側の値としては、低いほうの値を採用して 86.54円とします。

」の車券は 表5-1 から回収率が高い組み合わせを選んだわけですから 回収率はもともと高ぶれしている可能性が大きく、真の期待値は下側の 86.54円のほうに近いと思われます。

同様の計算で「-内枠× 」の期待値は、

  • 的中率の推定による 期待値   :80.27円 ~ 124.97円
  • 的中平均配当の推定による 期待値:88.74円 ~ 116.51円

同様の計算で「-内枠 注 」の期待値は、

  • 的中率の推定による 期待値   :83.74円 ~ 155.21円
  • 的中平均配当の推定による 期待値:87.06円 ~ 151.89円

です。 合算すると -内枠 ×注 への流し」 の期待値は、

  •  83.47円 ~ 133.36円

となりますが、前述のように、真の期待値は下側の 83.47円のほうに近いと思われます。

7.車券シミュレーション2

「車券シミュレーション1」では2着選手を内枠とする条件を加えることで 的中率,回収率がどのように変化するかをシミュレーションで求めましたが、ここでは1着に指定する選手の強さの度合いによって車券の的中率,回収率がどのように変化するかを調べてみます。

1着指定する選手に次の条件を付加します。

「そのレースで最も競走得点が高く、2番目に高い選手より a点 以上高い」

a点 が大きければそのレースで選手は抜けた存在となり、1着率が高まることは容易に想像できます。しかし的中配当は安くなり、回収率が上がるかは疑問です。また回収率が上がったとしても、対象レースが減るので利益が上がるとは限りません。

a点の値を変化させて 車券購入シミュレーションを行った結果を次にまとめます。
(対象期間 2016.7.1 ~ 2018.6.30   対象ガールズレース 2,169)

表7-1    a点を変化させての2車単シミュレーション
a点 適合レース 車券数 的中数 平均配当 的中率 回収率 損益
0 1756 2552 213 1307.0円 12.13% 109.09% 23,200円
1 1403 2035 190 1194.4円 13.54% 111.51% 23,430円
2 995 1443 155 1113.5円 15.58% 119.61% 28,300円
2.5 812 1173 136 1103.2円 16.75% 127.91% 32.740円
2.7 721 1043 126 1125.5円 17.48% 135.96% 37,510円
2.8 685 996 122 1141.6円 17.81% 139.83% 39,670円
2.9 652 952 119 1106.2円 18.25% 138.28% 36,440円
3 623 912 13 1089.2円 18.14% 134.96% 31,880円
4 234 485 64   979.4円 19.16% 129.24% 14,180円

上表から、a = 2.8点 のときが損益は最高となり、回収率 139.83%、損益 +39,670円となります。

まとめると、

  • ・1着は 選手で、競走得点が他のどの選手より 2.8点以上高いこと。
  • ・2着は ×,注 の3選手で、内枠(1~3番車)であること。
    の条件を満たす「」「×」「-注」の2車単車券。

を 2016年7月~2018年8月の 2年間 購入した場合、685の適合レースがあり、996本の車券購入で、的中率 17.81%,回収率 139.83% となり、1点100円購入の場合、合計で 39,670円の利益を得られた。

ということになります。

もちろん 今後の期待値となるとこう上手くはいきません。 前章のようにシミュレーションの結果から、信頼度95%で期待値を区間推定してみます。
,×,注 の合算値の結果だけを示すと、

期待値 = 97.52 ~ 181.55円

となります。前章で述べたように真の期待値は下側に近いと思われますが、95%(期待値が高いほうは問題ないので、低いほうだけを危険域と考えるなら 97.5% )の信頼区間で下限値が 97.52円なら、もしかすると今後の実際の車券購入でも回収率が100%を越えて利益が出るかも知れません。

上の2車単の1,2着条件で、3着を人気別に3連単のシミュレーションを行うと、

表7-2    3連単シミュレーション
1着 2着 3着 適合レース 車券数 的中数 平均配当 的中率 回収率 損益
他より
2.8点
以上の
内枠の
×
685 996 60  3,649円 8.76% 219.80% 119,320円
685 996 28  4,341円 4.08% 122.03%  21,940円
562 669 12  5,666円 2.14% 101.63%  1,090円
× 561 653 11  9,310円 1.96% 156.83%  37,110円
541 670 5  6,642円 0.92% 49.57% -33,790円
_ 685 996 6 10,117円 0.86% 60.94% -38,900円

となります。回収率が 100% を超える 3着 × への流しとすると次のようになります。

表7-3    3着を × へ流した場合の3連単シミュレーション
3着 対象レース 対象車券数 的中数 平均配当 的中率 回収率 損益
× 685 3,314 111 4602.3円 16.20% 154.15% 179,460円

まとめると、

  • ・1着は 選手で、競走得点が他のどの選手より 2.8点以上高いこと。
  • ・2着は ×,注 の3選手で、内枠(1~3番車)であること。
  • ・3着を×への流し。

を 2016年7月~2018年8月の2年間 購入しつづけた場合、685レース 996本の車券購入で、的中率 16.20%,回収率 154.15% となり、1点100円購入の場合、合計で179,460円の利益を得られた。

ということになります。

2車単のシミュレーション結果でも述べたように 今後の期待値となるとこう上手くはいきません。
3連単になると車券の種類が多くなり計算が大変なので期待値の区間推定値は算出しませんが、上の2車単と1,2着条件は同じなので、下限値は 2車単期待値の下限値 97.52円に近いものと推測できます。下限値としては高いものであり、2車単同様に今後の実際の車券購入でも回収率が100%を越えて利益が出るかも知れません。

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