ふたつの2車ラインと、5人の単騎で、計9人だが、うち一名は犠牲役を覚悟している。そんな風な決勝戦だから、松本秀之慎-嘉永泰斗以外はみんな「吝嗇」になる。無理に前を切るとか叩くというような荒技は使えない。みんなプロの賞金稼ぎゆえに派手な「空中戦」にはなり得ない。みんな吝嗇とはそういう意味である。
いきおい初手の並びに大きく結果が左右される一戦となった。スタートを決めて地元両者を受ける。山口拳矢の作戦が見事にはまった。その山口に終始マークされることになった嘉永の番手捲りは――後ろがスースー寒いような――いかにもあやういそれであった。
視点を変える。9着は松本秀之慎、引っ張り役だから当然だ。8着は深谷知広、失敗した先行屋に大敗はつきものである。7着の小原佑太と6着の松本貴治は、赤板で89番手からしかたなく上昇したふたりである。5着は三谷竜生、深谷を下げさせてまでとった初手4番手が効いた。むろん初手で全てがきまったわけではない。簗田一輝は不発の深谷の後ろから4着まできている。眞杉匠は初手7番手から位置を上げバック5番手捲りで3着だった。が、それでもやはり、初手でだいたいのことが決まった決勝であったと記したい。そして私はといえば、その初手の画を描けなかった己の下手さかげんを嘆くばかりである。
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