十八歳の夏、新宿の鞄屋の店頭でサングラスを売るアルバイトをしたことがある。二時すぎの昼休みには近くにある紀伊国屋ビル地階のカレー屋さんでたまごカレーを食べ、残りの時間は五階だか六階まで昇った洋書コーナーで、ストーンズやツェッペリンの写真集を立ち読みしてつぶした。その頃すでに地階には『餃子の王将』があったのだったか。先に自動販売機で食券を買うのが当時としてはめずらしかった。
先々月ぐらいか、川口市内の王将で隣席の高校生がダブル餃子定食を勢いよく食していた。すさまじいティーンエージャーの食欲は俺にもあったのだろうが、もう想い出すのもむずかしい過去の欲望である――。
「ダブル餃子定食」と「ダブル番手捲り」は陳腐な駄洒落にすぎないが、今日(十一月十八日)の立川競輪A級決勝は、埼京も南関も「自力-自力」の布陣、ダブル番手捲りである。3・57前後のギヤ倍数主流の時代は、前が失敗してももう一度チャンスありと、この手の番組は「番手と番手」の車券がおもしろいように出たと勝手に記憶している俺だが、四回転近くのギヤ全盛の昨今はそれも減ったと、これまた俺の勝手な分析だろう。
それでも、ダブル番手捲りの競走は、とにかく番手と番手を買って見物する。もはや趣味の領域で立川の第十競走は①⑨と⑨①の二車単――。
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