北井佑季は、赤板で深谷知広を突張り、ペースに落とし、一息ついた後、残り一周からスパート、その時、古性優作が和田真久留を一発できめ番手に割りこむのだが、ゴールはその古性に抜かれただけで二着にガマンした。上りタイムは十一秒五、九人のなかで一番遅い(個人上りの単純比較ではあるけれど)。豪快な内容と遅いタイムの両々あいまって、まさに逃げの神髄だなと思う次第である。
古性の捲り以外の選択肢にイン粘りと記したのは、どうしても北井の上昇に内から合わすイメージしか浮かばなかったからだ。神奈川三人が正攻法で、前中団に地元両者となったのを見て、私は、うーんと唸った。
さすが古性である。
競輪は、ギャンブルは、車券は、買う前はあれも怖い、これも怖い、と迷う、絞れない。レースが終った後には、ごくたまに当たった時など、あの目は要らなかった、この目も余計だった、と悔いる。
だいたい古性が北井の番手をやるかも知れないという観点に酔えば、両者でいいじゃないか(北井の番手が競りならどうしても深井の捲りがこわかった)。むかしから番手をやって競り勝った選手は、たいがい抜いちゃうもんだ。もろのマーク屋が競りのレースだと何故か寸チョン。幾度も見ている(気がするだけかもしれないけど)のだから、古性から北井の一本に絞れる。ああ、馬鹿は懲りない、死ななきゃ治らない。
つぎの記念は、記念じゃないGⅢの伊東は、「ウィナーズカップ」直前の開催ゆえS班がひとりもいない。古性優作がいないのでは、俺にはとれない、おそらく、きっと。
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