出遅れた三番ライクアロケット号を諦め気味に見ていた。馬群が差しかかったむこう正面は薄い霧に煙っていた。霧中にて形勢一変、晴れた四角ではいきなり三番が上昇している――! そんなこともないかしらと淡く念じたが、そんな奇跡は俺には起こらない――。
後楽園の場外馬券場を出るとすごい人数の移動とぶつかった。東京ドームでアイドルのコンサートでも跳ねたのだろうか。九割九分女性の「川」の「圧」には逆らえず、よけるように迂回を繰り返したら見覚えのある道に出た。線路に沿って飯田橋に続く道だった。黒競に勤めていた夏の或る日、この道を歩いて馬券を買いに来たことがあった。真夏日の道を歩いた。黒競の黒っぽいビルは昔のままあった。
三十一年前、黒競に這入り一年で辞め青競に拾われ、そのまま喧嘩もせずに(ちょっとはしたけど)ずうっと、この世界に居るのが自分でも不思議な気がする。満更でもない人生だったか、只のうそ寒い人生であったか、己の口からは云うまい――。昨晩見たテレビの影響で朝から宇多田ヒカルを聴いているせいか、矢鱈と追懐の情が起こる。中庸を求めて神楽坂まで足を延ばすのは逆効果だろうか。俺はアイフォンを取り出し、イヤフォンから流れる音楽を宇多田ヒカルから加川良に変えたが、更に深みに嵌るやも知れぬ――。
函館競馬の実況者は――靄が出て見えにくくなった――と喋ったのだったか。
無学の俺は霧と靄の境がわからない。
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