彼女(武田あかり嬢)が頭流しをするというご贔屓の選手(平原康多)が、どう考えても(武田豊樹の)引っ張り役だったとしても俺は、そんな車券はない――とは言わない・言えない・言わないようにしている。
若気の至りから昔は、他人が出したギャンブルの結論を真っ向から駄目だししたこともあったが、いつからか我慢するようになった、というかそんな行為が恰好悪いことに気づいたのだ(他山の石として自覚した)。
番手捲りなんてあるわけないだろう――!
競りと競りの表裏だァ――? そんな車券は競輪にはない――!
出目買いなどギャンブルじゃない――!
ま、言下に否定する奴も又嫌いじゃないのだが、そこは言葉のセンスで大きく左右される。
青森のテレビ中継を見ていた。
必死に車券を予想している二人組のひとりがこのレースはワイドで買うという。四番車から三点流しだったか。それを受けた放送室の解説者は云った。――当てにきてますね、と。
何の気なしの冗句と流せばいいのだろうけど、俺はちょっとカチンときた。ワイドという賭け式だから安易に当てにきたでは、難解な第十競走を考えに考え「南修二のワイド」という結論に行き着いた「競輪党」が可哀想になる。
もう十年以上前になるだろうか。同業他社の新人だったH君が現場に出たばかりの頃、固そうなワイドを一万だか二万円いきなり買ったのを想い出した。
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