初日の清水裕友は、深谷知広を叩けず・捲れず、最後は郡司浩平の所に烈しく降りたが競り負けた。と、先日記した。完敗だった。と、付け加えもした。が、深谷-郡司に対してあらがい闘ったのは清水ひとりだけだったとも述べた。
決勝の清水は、渡邉雄太-深谷-郡司-佐々木眞也のカマシを突っ張れず、飛び付けず(飛び付かず)、深谷の番手捲りを捲れず、苦しまぎれに内に降りるも佐々木に弾かれ終了した。完敗だった。でも展開を動かしたのはやっぱり清水であった。
一流は二回つづけて同じ相手には負けない、とくに賞金の高いところでは。「つづけて」とは大宮記念から静岡記念を指し示し、「同じ相手には」とは郡司から見た深谷ということになる。肝に銘じていたことなのに煮えきらない予想ではぐらかしている時点でわたしの負けは決まっていたようなものだ。
深谷「がまん」が二百六十円で郡司の「寸差し」は五百十円もついた。終わったから「も」ついたなどと言えるのだ、おそらく嘲笑されることだろう、そのとおりだとも思う。が、もう一回つぶやく「五百十円もつけた……」と。
いいかげんにしろ! 怒鳴られるのを承知で書き足す。
昨晩、テレビを点けたら偶然『マルサの女』が映っていた。まだ始まって三十分ぐらいだったからそのままだらだら見た。過去に見ている記憶があるようなないような、津川雅彦若い、彼女マッハ文朱? この男優なんて名前だっけ? ぶつぶつ言いながら最後まで見た。脱税犯の山崎努がマルサの宮本信子に自供に近い暗証番号を血書で紙片に書いて教える。ラストシーンに使われた場所は非開催日の競輪場のスタンドだった。おそらく花月園と推察したが自信はなかった。が、エンドロールで確認できた。このとき、わたしの中に、やっぱり明日は郡司の差しだろう、そんな心変わりが生まれ起きた。が、今さら吐いてしまった予想を飲みこむことはできない。
なあんてただの作り話です。
失礼をば――。
♪根も葉もないような/話をしてるぜ/火の無いところに/煙を立ててるぜ/そうさオマエの正体/ホラ吹き野郎……ホラ吹き野郎/ホラ吹き野郎/おかしな真似して/笑わせておくれ/待ち合わせしようぜ/ホラ吹き野…………ホラ吹き野郎/ほらみたことか/ホラ吹き野郎/ほらみたことか/後の祭りさ/あいつはホラ吹き野郎……ザ・プライベーツのチャック・ベリー調のロックンロール『ホラ吹き野郎』が大音量で流れればいい。
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