初日のメイン「特選競走」は南関トリオの独占劇だった。
北井佑季-深谷知広-和田健太郎が前受けから突っぱって深谷の楽差し。と書き記せば簡単なようだが、私見を述べさせてもらえば、信じられないようなワンツースリーだった。赤板先行あたりまえの北井が打鐘からの逃げならこのくらいやれるでしょう、と言うむきもあろうが、私にはおどろくような烈しい先行だった。第一波は嘉永泰斗のカマシで二派が新山響平のカマシ。そして間髪入れずに古性優作の捲りだ。
「ああ、これは捲っちゃうな」
「おいおい脇本(雄太)ちゃんと付いてけよ」
「大丈夫だよな?」
以上は観戦時の私の心の声だが、間抜けな声援だった。
「脇本、大外をおもいっきり」も無理な注文だった。
見た目どおり他派は全部不発なのだから南関の独占にきまっているのに、一番、四番、六番のゴールに、うん? 深谷から誰だ? あ、北井か。六番は和田?
私の覚わった競輪では、突っぱり先行は着外の危険が付きまとう戦法である。相手が強くなればなるほど、番手が強くなればなるほど尚更だ。が、北井にはまるであてはまらない。以前、北井を賛辞するのに「滝澤正光の往時をおもわせる」強さと記したが、それとも違う。「異形」の強さであった。
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