番手勝負と決めたなら、顔見せも外、本番も外で競る。そんな意固地なマーク屋を幾人か憶えている。
それとはまるで違うが、ちょっとだけ似た競輪が函館記念の初日にあった。
第十競走。顔見せから野口裕史が――いつものことではあるが――大そう気負っている(荒い鼻息の音が聞こえてきそうなぐらい)。ぐんぐんスピードを上げると、番手の小原太樹はしっかり追ったが、三番手の丸山啓一は完全にはぐれてしまった。おいおい大丈夫かいな。わるいが俺はくすり笑った。
本番は野口-小原-丸山で正攻法。赤板で伊藤慶太郎が押さえようとすると、顔見せ同様の気迫で野口が突っ張り先行、これまた顔見せとおなじく小原はぴったりマークも丸山は踏み遅れてしまい、三番手四番手に伊藤-柿沼信也が収まった。
顔見せも、本番も。
偶然の目撃者となった俺は、競輪に楽しませていただいた。
ブログ
最近のブログ
- 俺は松浦にお任せだから~宇都宮記念競輪後記 2022/05/22 17:33
- 金子か吉田に勝ってもらいたいなら、眞杉は引っ張り役なのだろうけど~宇都宮記念決勝 2022/05/21 19:23
- 笑ってる場合じゃねぇだろう~函館記念競輪後記 2022/05/17 21:26
- 幸福ゆきの切符~函館記念決勝 2022/05/16 22:43
- 顔見せも、本番も。 2022/05/14 20:33