久留米記念のテレビ中継では、解説者が予想した買い目をそのまま、実際に購入した車券の映像で流していた。車券は銀色の細いピンでボードに留められている。ピンの刺さる角度が雑だったり、置かれた車券が斜め気味だったりするのはライヴの味かも知れぬが、神経質な俺にはちょっと気になった。“車券は大切にお持ちください”の場内放送が被れば可笑しかろうと莫迦なことを考えたりもした。
買った車券をどこにしまうかは各人各様で、財布にいれる、背広の胸ポケット、ズボンの尻ポケット等々……。ずっと手に持っている奴もいたか。それは競輪場の一般席でも特観席でも記者席でもおなじであり、諸先輩のなかには、買ってるのか買ってないのか、当たったのかはずれたのか、又その額も他人に見せない悟らせない記者が居て、その佇まいは怪しくも恰好よかった。
あれは何年ごろなのだろう。記者室内は大半が俺より年下になっており、机上に買った車券をそのまま放置して取材に行く人間の出現には吃驚した。既に紙屑と化した車券も、まだ走っていない競走の車券も半日一箇所に積まれていることが、俺には薄気味悪かった。
現場でも電話投票を使うことが増えつつある今では通用せぬが、勝負上着の左胸内ポケットが懐かしい。タイトなジーンズの右ポケットから皺の寄った車券を取りだすAの姿がまだ頭の片隅に残っている。
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